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ラブコメ 恋愛

ひねくれ俺たちの青春シャウト 11

   

 叫部での本格活動第二弾開始!
 再び登場した戸川美空の前で、澤崎は覚醒することを選ぶ――。

 

「澤崎、お前はたしか彼女が欲しいんだったな?」
「え、まあ欲しくないとは言いませんよ……」
 霧間先輩は唐突にそんなことを言い出した。女の人に言われるとなんだか、不快とまでは言わないが、妙な恥ずかしさが残る。そりゃあ彼女が欲しいってのは俺が常日頃、狂人のごとく叶えたがっている願望だし、叫部ではもっぱら、彼女が欲しいがモテないキャラとして定着しつつある。俺のプライドは傷つき放題だが、事実は事実だ。言い訳のしようもない。
「ほら見ろ、あっちのサークルは女子部員が大量にいるぞ。本当に彼女が欲しいんだったら、なんとかしてみたらどうだ?」
 なんてことを、霧間先輩は平坦な口調で、何も返答に困るようなことは言っていないぞ、というような表情で、そう言ってのけた。
「なんとかしてみたらって、お近づきになってみろってことですよね……?」
 おそるおそる聞いてみる。
「まあ簡単に言うとそういうことだな」
「じゃあ――ビールってあります?」
 ここで俺がビールを欲したのは言うまでもない。覚醒状態になるためだ。俺だって、何かが変わらなければ、何かを変えなければモテるどころか満足できる自分になれないことくらい理解しているつもりだ。そこで俺の特性を、このバカみたいな特性を利用するのは、間違いのない選択だろう。
 そう思っていたのだが、霧間先輩は違ったようだ。
「そうか、そうしたいならそうすればいい――」
 続きの言葉はなかった。そっと缶ビールを手渡されただけだ。
 煮え切らない! 俺の戦略は卑怯だとでも言うのか!
 酒に頼るのは最初だけの予定だし、女の子と仲良くなるための最初の一段階目くらい、戦略的に動いたっていいじゃないか。
 と、ため息をつきながら缶ビールを開けたところで、小沼先輩が目の前に登場した。登場しなくていいです。
「澤崎、たしかに恋愛は自由だ。両想いになるまでは特に、モテるためだけのことをすればいい、と、俺は思う。だけどなあ、お前の場合はちょいと違うんだよ。お前は自分に自信がないことの言い訳に酒を使ってるだけだ。理性を消し去って別の人格になろうとしてる。最初はもちろん、こいつはある意味すげーやつだなーと思ったよ。でもそれはお前じゃない。人間は理性を失った瞬間、そいつはそいつでなくなるんだ」

 

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