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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season16-11

   

 浅野教祖はアトラを責める。預言なしに殺戮したことを咎めているのだ。

 アトラは自分で預言をして神の声に従っているという。

 そして、雲田がアトラの経歴について言及する。その真相を徐々に責め立てるように問う。

「おまえの母親は…」

 アトラの中で何かが弾けたのは母親のことだった。それを異国の雲田に問われたため、レーザー銃をむける。

 氷室が先手を打ってこれにブレーキをかけた。

 いま浅野とアトラの出会いについて語りはじめる。

 それは壮絶なまでにアトラが浅野を利用して日本での活動を広げる目的で手を組んだのだ。

 すべては母親の死の真相を知るためにだ。

 そして御影はさらなる深みのある問いを投げる。そこにはアトラの思考と浅野の思いのズレが生じていたことをはじめて悟るのだ。

 対話を進めていくとアトラにとって信じられない真実が待っていた。

 

「なぜ、そんな勝手な真似を?」教祖は唾を吐きながら罪を問うようにアトラにいった。

 アトラは無言だった。視線をそらしていた。ここで殺戮を繰り返しても、カメラで放送されてしまったのであれば銃口をさげるしかない。

「教祖ではなく、フィクサーに従っていた、そうだろう?」氷室がいった。

「ああ、そうだな」アトラは素直に認めた。「おれはおれの心に呼びかける神の声に従った」

 浜戸 アトラ(はまど アトラ 25歳)。ローマ人男性と日本人女性とのハーフ。

 六年前に浅野に声をかけた。日本に興味をもっていた。母親が日本人のためだ。父親はローマ人だった。

「浜戸 アトラ」おもむろに雲田がいった。「おまえの母親どうした?」

 不可思議なことをいうものだ、とだれもが思っただろう。だが、アトラの顔は鬼のような形相に変貌していた。

「母親、自殺しているな」雲田は遠慮なしにいった。

「それがきみをここまでの犯罪者にさせてしまった。ちがうか?」氷室が付け加えた。

 御影もずっと気になっていたアトラ。なぜなら浅野と出会ったのが彼がはじめてだったからだ。

 経歴を調べている雲田がつきとめてくれた。

「なぜ自殺したんだろうな?」雲田はなおも責め立てる。

 ガチャ、と音がした。それはレーザー銃の銃口を雲田にむけていた。

 引き金を引かれる前に、氷室が先手を打つ。

「浅野は、夜な夜なローマの町で神をけなすような言葉を吐いてはローマ教を罵倒して、常連のように投獄の日々を送っていたそうだな」

 気をそらすかのように話題を浅野にむけた。するとアトラは耳が反応したのか指先の引きがねにブレーキがかかった。

「アトラは母の自殺の真相がしりたくて、日本にむかう機会を狙っていた。だが、そこまでの暮らしの余裕はない。ローマ教信者であるアトラはローマから出る許可がおりなかった。そこで、その浅野に関心をもった」氷室はいった。

“この男を利用しよう”。

「アトラの言葉に興味を抱き一年間の下積みで開教し、ローマ教信者になって修行し、みるみるその神託を会得してローマ法王にも信頼を持った。そこまではよかったが、アトラは浅野をそそのかした。日本で活動しようと。信仰心を世界にむけようと悪魔のささやきをかけた」

「アトラもまたローマ教信者、その枠からはずれるのは傘下になった日本人代表として祀り上げて、その下につくと法王に交渉した。法王はこれに快諾した。そんな暗躍を企んでいるとはしらずに、ローマの地を出る許可をだしたのだ。浅野にたいして。するとアトラも自動的についていくことになる」雲田はいった。

「すべては浜戸 アトラ、おまえの企てによるものだ」氷室はいった。

 

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