お見合い相手は恋人未満 序章~ニ

親の勧めで見合いをしたみわだった。
相手の顔も名前も、もちろん経歴なども知ることなく(知る必要がないと勝手に判断)望んだら、そこにいたのはかつての片思いの相手だった――

 

 

序章

 本日は晴天、大安吉日ともあり、ホテル内はとても賑わっていた。
 隣接する式場も人で溢れかえり、未来永劫の愛を誓った男女が幸せのオーラをまき散らす。
 ホテル内の中でも一番の広さを誇る和を基調とした造りのレストランの窓際では、狭名田(さなだ)酒造のひとり娘の見合いが慎ましく執り行われていた。
 暖色系を基本とした色合い、橙色の花柄が華やかに存在を表した振り袖を着た早田(さなだ)みわは、その艶やかな振り袖とは真逆の表情を隠すことなく見せていた。
 振り袖は成人式の時に着た以来、着慣れていないこともあり、窮屈さがさらに気持ちを不機嫌にしていく。
 そんな娘のことなど気にせず、両親は相手側のご両親との会話に勤しみ、見合い相手の男を誉める。
 誉められた男も愛想のいい笑みと声色で受け答えをしていた。
 みわの両親はかなり相手を気に入ったようで、声色が明らかに弾んでいた。
 そんな状況の中、みわの内心は――ちっ、外面だけはあいかわらずいいわね、壮一郎のやつ……――と、毒を吐く。
 実はこのふたり、ワケありの仲だった。
 なぜこんな状況に陥ってしまった?
 みわはしかめっ面のまま、ことの発端を思い返し始める。

 
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