ラブストーリー

お見合い相手は恋人未満 三

   

気乗りしないみわに壮一郎は割り切った関係を提示してきた。
互いの事業のため、自分たちが手を結ぶのは利益につながるという。
しかし、みわの父親はかなり乗り気で…

 

 

三 仕切り直しの酒

 みわが壮一郎との嫌な記憶を思い出している間に、話はトントン拍子に進んでいく。
「それでは、そろそろ若いふたりだけにしましょうか」
 仲介役の人が両家が馴染んでいるのを確認して、仕切りはじめた。
 たしかに和んではいるが、みわのしかめっ面は相変わらずで、さらに「若いふたりに」のあたりで、ピクピクと顔をひきつらせている。
 みわの心境は――冗談ではないわ! だった。
 なにが悲しくて過去にフラれた男とふたりきりにならなければならないのか。
 そもそも、なぜ見合いを受けたりしたのだろうか、壮一郎は。
 嫌み? 冷やかし? だとしたら嫌みな男に磨きが掛かったってことで、ますます関わり合いたくない。
 しかし、そんなみわの心情を察することなく、
「ほら、みわ。行ってらっしゃい」
 などと母親は上機嫌、父親に至ってはすでに出来上がっているのか? というくらい羽目が外れかけていた。
「あらあら、早田のお嬢さんは恥ずかしがり屋さんなのかしら? 奥手でらっしゃるのね。壮一郎さんがリードしてさしあげては?」
 と、仲介役の人が余計なことをいうので、
「そうですね。では、行きましょうか、みわさん」
 と、壮一郎が手を差し伸べる。
「ほれ、みわ。恥ずかしがるような歳でもないだろう?」
 躊躇していると、父親が急かすようなことをいう。
 ふたりきりになるのも、手をつなぐのも、どちらも嫌。
 だけど、どちらかと取らなければならないのなら、とりあえず親の目から離れるのが先決かもしれない。
 みわはそう考えて、スクッと立ち上がる。
 親たちに気づかれないよう、「余計なことはしないで」と壮一郎に目で訴える。
 壮一郎はそれに気づいたのか、それとも彼も早くこんな茶番から脱したいのか、みわがしっかりと立てるのを確認すると、先に歩きはじめたのだった。
 その後ろをみわが小走りに追いかける。
「あらあら、かわいらしいですわね」
 などと勝手にイメージを決めつける声が聞こえたけれど、みわは気づかないふりをして壮一郎の背中を追いかけた。

 

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