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ラブコメ 恋愛

ひねくれ俺たちの青春シャウト

   

 サークルの先輩たちに見捨てられてしまった戸川美空。
 罪悪感を感じつつも、澤崎はその場を離れ、次なる活動場所へ。
 そして一連の流れから、部長である霧間は、何か重要なことに気付いたようだった――。

 

 叫部のメンツは全員、黙々と酒を飲んでいる。
「おちょくってるわけじゃない。これが現実だ。お前が見なきゃいけない現実なんだよ」
 霧間先輩は最後にそう言い放って、自分の持ち場へ戻っていった。見なきゃいけない現実――それはあたかも最初からそれを知っていたかのような言い方だった。それはさすがにないとは思うけど、それでも霧間先輩の言葉には不思議な説得力があった。
「あー興ざめ! 飲み直すぞ!」
「ういー」
「はーい」
「うぃっすっすー」
 西条先輩、三木林先輩、小沼先輩は何事もなかったかの如く、そう続いた。この人たちは、いったい霧間先輩の何を信頼してここまで従順なのだろう。それが、未だにわからない。不思議な説得力、それだけなはずはない。けれど、俺だって部長は誰がふさわしいかと聞かれれば、間違いなく霧間先輩を押すだろう。みんなもそんな、曖昧な感覚で従っているのだろうか。
 まあそんなことは早急に考えるべきことでもない。問題は戸川だ、戸川美空だ。こいつ、意気消沈してるっぽいし、どうしたもんか。俺にしたってなんとなく怒鳴る気力無くしてるし。
「おい、お前どーすんだ」
 聞いてみた。一応、というか、こいつのサークル部員が消え去った原因は俺にもあるわけだし。と、大人気ある風な対応をとってみたのだが――
「ほっといて」
「え?」
「ほっといてよ!」
 と言って、その場のベンチに座りこんでしまった。よくわからん、と言いたいところだが、今はそっとしておくべきなのかもしれない。自業自得にしたって、きついものはきついのだろう。
「おい澤崎ー。お前どーするんだ」
「もちろん行きますよ! 西条先輩!」
 たしかに飲み直したい。この空気のまま家に帰りたくないしな。
 先輩たち、夢見と一緒に俺は荷物をまとめて移動を開始した。
 振り返ると未だ戸川美空は、ベンチに座って静かにたたずんでいる。
 自業時得だよ……自業自得……だよな、たぶん。
 何かが引っかかっているのは自覚している。しかし、俺は戸川美空を残し、叫部の先輩たちとその場を去った。最後に一度だけ振り返ってみたが、戸川美空はそのまま一人でベンチに座っていたままだった。

 

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