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ラブストーリー

輪廻転生ヒーロー 第4話「君と恋がしたい」

   

――災悪の降り注いだ世界を救い、<英雄の少女>人峰灯火はその後、少年の前から姿を消した――

青春×純愛の現代ファンタジーラブストーリー
『輪廻転生ヒーロー』
【毎月 第4水曜日に更新】

「――――だからと言って、彼女を誰にも渡すつもりはないけれど」

 

 
「葵。ほら、ジャージ」
「ありがとう、雄大さん」
「…なあ」
「ん? 何?」
「――――もしも、お前の言う通り、また人峰が戦わなければならない時が来たら、その時は……迷わず“俺を頼ってくれよ”」
「は…?」
「俺、お前の親友だしな! 今度こそ、力になるからよ」
「…う、ん」

 雄大は、僕のことを真剣に見つめていた。彼が一体何を考えているのかはわからないが、僕は適当に頷いて、ジャージに着替えた。

 雄大は、過去の僕の様子を知る数少ない人間だ。心配してくれるのは素直に嬉しい。だが、その時が来たら僕は――――彼との縁を切るだろう。
 全人類を犠牲にしてでも、僕は灯火を英雄の道から外すつもりだ。そうなれば雄大も、雄大の家族も生き残ることは出来ない。そうなれば、大きな原因である僕のことを、あの性格の雄大が許すはずがない。
 ――――まあ、もしもの話だけれど。だが、確実にその時は来る。

「それじゃあ、僕帰るね。雄大さん、今日はありがとう」
「おー。気をつけて帰れよ」
「うん、また明日」

***

「! 待たせちゃったかな…」

 僕はそう呟いて、急ぎ足で下駄箱へと向かった。既に灯火は着替えを済ませていたようだ。携帯端末を手にしていた彼女の肩をとんっ、と叩く。

「お待たせ、灯火ちゃん」
「あっ、ジャージ借りれたんだね! よかったぁ」
「うん。職員用だからちょっと恥ずかしいけど」

 水色のジャージを隠すように鞄を抱えた僕を、灯火はくすくすと笑って指差した。

「派手だねぇ、ふふっ」
「笑わないでよ…」
「ごめんごめん」
「僕こそ、遅くなってごめんね。待たせちゃったよね?」
「大丈夫だよっ! さ、帰ろ」
「うん」

 僕も急いで靴を履き替えた。そして、既に歩き出していた灯火の横に並ぶ。その間にも、幸せが溢れ出していくのを、僕は感じた。
 灯火の横に並んで歩いているなんて。こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。

「葵君、お家の方向こっちなの?」
「うん」
「じゃあ、案外ご近所かもしれないね」
「!」

 その言葉を聞いて、僕は確かめたいことがあったのを思い出した。答えによっては、僕の中での『人峰灯火の仮説』に重要なヒントを与えるかもしれない。
 

 

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