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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

推理からはじめよう 5

   

 飛田は新宿で一人珈琲を飲みながら世間を見据えていた。ある連絡を待っていた。

 探偵社メンバーが奮起して情報収集してくれた。これで飛田の推測はゴール目前まできている。

 ある人物に会うためだ。そこで飛田は思いがけないコンプレックスに悩まされるが…

 

 飛田は、いつになく真剣な顔で新宿のスターバックスでレギュラー珈琲を飲んでいた。

 忙しく行き交うサラリーマン、OL。平日の日中だけあって白黒の服装な連中ばかりが目に入っている。

「ひとはなぜ生きる? それはかすかなたのしみがあるからだ。きつい労働に勤しむのは、やはりたのしみの時間を共有する相手がいるからかもしれない。一人でいてもそれはおなじたのしみになる。ひとにとっての生き甲斐があるからその足は前へと歩みをだすのだ」

 窓の向こう側の世界に訴えかけているかのように、飛田は詩人よろしく語りかけていた。

 テーブルの上に置かれたスマートフォンに着信があった。東峠の名が光っていた。

 禿頭が浮かびあがるのは、東峠の特徴だろう。

「はい。ご苦労様です。そうですか。わかりました。思っていたとおりの情報でよかった。さぞ、お疲れではないですか?」飛田は労わりの言葉を述べた。「ゆっくり休んでください。近くの健康ランドで休息を。では、あっ、それと三城屋くんに裏づけになる証拠を集めてもらうようにいってください」

 飛田は通話を切った。半分残っている珈琲を飲み干し、空の容器をゴミ箱に捨てて店を出た。

 生き甲斐の時間を得るために、毎日つらい社会の歯車の一部になっている連中のなかにまぎれるように消えていった。

 

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