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SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第41話 叫んでも叫んでも

   

信じた者の為、幼き王女は陰謀と悪意に抗い、立ち上がる。
王女と王子の運命を駆ける王国ファンタジー。

「あなたのいない世界で、どうやって生きたらいいの…?」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

今は遠い記憶の中で、笑う。

 

 
「!! いたぞ!! 追えぇええ!!」

 ――――見つかってしまった。

 私は絶望と逸る鼓動を感じながら、必死に足を走らせた。次々と武装した王国兵と見られる者達が、私達の後を追って来る。

「こっちだ!! 早く来い!! 何してるっ、早くしないと逃げられるぞぉおッ!!」
「ッ! くッ…!」
「に、兄様ッ…!」
「――――どうして」

 ルイスが噛み締めた唇から、小さくそう言葉を漏らした。

 『どうして』――――。そんなこと、私にだってわからない。逃げることも戦うことも出来ないのなら、私達は一体どう抗ったらいいのだろうか。

「エリザ…! ここを進むよっ」
「…!? ま、待って! そっちは――――」
「ああ、そうだ。でも、
「どういうことなの!? 兄様!!」
「いいから走るんだッ!!」
「ッ」

 ルイスは声を荒げて、私の腕を掴むと、隣の建物へと繋がる連絡通路に押し込んだ。私は躊躇いながらも、走り続ける。この先に出口なんてありはしない。あるのは、見晴らしのよい屋上だけだ。ルイスもそれはわかっているはず。それなのに、どうして上を目指すのだろう。下の階に降りなければ、船着き場まで行けないのに。

「兄様…!」

 不安。焦り。疲労。全てが私の体の動きを鈍くさせる。

 ――――バアアアンッ!!

 叩きつけるようにして、屋上の扉を開く。ルイスは私を背に庇いながら、階段を駆け上がって来る兵士達を睨んだ。彼の目に、怯えは一切見られない。ただ、感じるのは怒り。そして――――“覚悟”。

「どういうおつもりですか、レンカイズ王子殿下。このような場所にお逃げになるとは……」
「お二人で仲良く身投げでもするおつもりですか?」
「何て人達なの…! 王国兵の鎧を纏って、よくもそのようなことが言えますね!」

 カーネットの紋章の刻まれた鎧を纏い、カーネットの兵を気取り、王族を貶す彼等の目には、最早私達は映っていない。殺す対象としてしか、見られていないことに、私は今ようやく心の底から実感した。今までこんな人間達に守られていたのかと思うと、吐き気がした。

 ――――許せない。許さない。
 

 

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