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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season17-4

   

 御影は小柴を連れて、実家に帰ってきた。

 芸能事務所を経営している御影の父に音楽業界について何が情報はないか聴きにきた。

 小柴は従業員の家庭に触れることは今回は初めてのことだった。

 探偵としてまさか身内からの聴き込みをするとは小柴も思ってもみなかったが、遠回りをして急いで回りたどり着く。

 それが御影の調査力の一つだった。

 だが、意外な情報を父親がもっていた。おかげで進むべき方角が決まった。

 

「ここって…」小柴ははじめて従業員の実家に訪問した。

「はい、おれの実家です」

 江戸川。と檜の表札に黒墨で彫られていた。

「…」小柴は御影の実家がどういう家系かはわかっていたが、屋敷のような佇まいの家屋に脚さえ震えて驚愕していた。

 江戸川 しょうらん(えどがわ しょうらん 77歳)。御影の祖父。大推理小説作家

 江戸川 柾千代(えどがわ まさちよ 76歳)。御影の祖母。

 御影 胡蝶(みかげ こちょう 47歳)。御影の母が育った家だ。旧姓:江戸川。

 若き日の胡蝶はIQ200ある天才少女。タレントとして活動している。どんな難解な問題も…解けてしまう頭脳明晰。

 御影が産まれてからは専業主婦になっている。御影が独立している今、胡蝶は暇を持て余しIQの高さから、父の芸能事務所のタレントとしてクイズ番組やバラエティに出演していた。

 クールで一切笑わない、だが美人で頭脳明晰。秀逸な存在で憧れの的になって大人気になっている。

 御影 颯天(みかげ はやて 47歳)。御影の父親は芸能事務所経営者。プロデュースすることが多い。あまり家にいることはなかった。

 解宗は、あまり関心がないため会話がない。御影の家族は冷えきっていた。

 数か月前に幼馴染のストーカー問題でいちど帰郷しているが、そのとき以来だ。
 
 

 一番最初に声をかけたのは、長年仕える家政婦の財善 芳子(ざいぜん よしこ 52歳)だった。

「あら、ぼっちゃまお帰りなさい」やや丸みで158センチの温和なひとだが、かなりの腕っぷし。江戸川家の屋敷を一人で家事を手伝っているスペシャルな家政婦。

「オババ、ひさしぶり…、親父いるかな?」

 御影は芸能界に精通している父親に裏事情を聴くため帰ってきた。

「なるほど…」小柴はやっと納得した。

 もっとも親父は日夜いないことが多い。

「いますよ、めずらしく。書斎でなにやらサーフィンの練習しているみたいで…夏はまださきなのにね」愛想のいい笑い方で玄関で出迎えてくれたオババに案内された。

「サーフィン? まさかインターネットのことじゃないの?」小柴は御影に耳打ちした。

「そうだと思います。オババは昭和の文明までは対応できるけど、平成についてはぜんぜん…時間が止まったままで」

「それはすなわち思考の回転が止まったということね」小柴は遠慮なくいった。

「旦那さま、ぼっちゃまがお帰りですよ」オババが通路のところから二部屋先の父親の部屋に投げるように声を張った。

「よくとおる声だこと…」小柴は耳を塞ぎたくなるような思いだった。

 御影は、それはあんたも同じと内心思っていた。

 

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