幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第1話「聞こえた声」

   2017年2月21日  

長い夢から目を覚ました少女は、泣いていた。

「――――生き延びて、しまったのか」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

新章 第1話「聞こえた声」+前章あらすじ

 

前章 カーネット王国編 あらすじ

 カーネット王国の王女、エリザ(王名、レイシー)は、兄のルイス(王名、レンカイズ)と共に、別城で静かに暮らしていた。

 だが、二人の生誕式の夜、異変は起こる。突如始まった爆発と、襲いかかってくる兵士。次々と起こる爆発の中、エリザはルイスを探して、傷ついた体を引きずっていた。そこへ現れた国王付きの従者、ウィリーは、エリザに逃げるように伝え、息絶えた。全てに絶望し、泣き崩れるエリザを兵士から守ったのは、兄のルイスだった。

 狂気の帝国、リュスト帝国。
 同盟間にある、バール王国。

 両国はカーネットの軍と共に、二人の命を狙った。
 エリザとルイスを庇い、囮となったのは祖父、国王。そして、崩れ去ろうとしている城に残り、二人が逃げる時間を稼いだのは、二人の従者であり友であった、ジンク。エリザに仕えたいと言った使用人、ミッシェル。

 大きな犠牲、たくさんの愛する人を失ったエリザ。彼女は次に辿り着いたプランジットで、ルイスの臣下だという人間達と出会う。
 生きることを望まれて、彼女は初めて、自分がここに在る理由を追い求めるようになった。だが、穏やかな日々は続かず、臣下達の内の一人が、行方不明となった。

 その半年後、行方不明となっていた臣下、ピクシスの遺体が町に晒されたことをきっかけに、再びエリザ達を狙うカーネット軍との戦いが始まる。
 無関係の住人達が兵士達によって惨殺される光景を目にしたエリザとルイスは、協力者の老人、エドガーの助けを借りて、数人の臣下を引き連れて、住人達の救出に向かう。――――だが、悲しくも間に合わず、エリザは再び絶望を垣間見た。そして、彼女は決意する。
 自分達を殺す為に、自国と他国を利用したアースカーネットを退けると。奪われた全てを取り戻し、成すべきことをすると。

 エリザとルイスを町の外へ逃がす為、囮となって戦い続ける臣下達に、エリザは誓う。いつか生き延びてまた会おうと。だが、彼女はわかっていた。もう二度と穏やかな日々なんて訪れないことを――――。

 列車に乗り、辿り着いた港町、アヴァラン。そこでルイスはここへ来た理由をエリザに伝える。彼は、カーネット王国から逃げるのではなく、戦う為に国を出るのだと言った。そして、その協力者、シアンと合流することが目的だった。

 ルイスの知り合いである宿の女店主の名を、エリザはどうしてか知っていた。不思議なことが次々と彼女の身に起こる中、港に向かう前に宿を出ることとなった二人を追う、平民の装いをした、兵士以外の何者か。その人間を倒したルイス。そして、教会で身を隠そうとしていた二人を待ち受けていたのは、王国軍だった。
 見えないところから矢を向けられていたエリザ。冷や汗をかきつつも、ルイスは人間技とは思えない方法でエリザを無数の矢から守りきり、教会に逃げ込んだ。
 飾られていた異様な絵画。神のいない国、カーネット。エリザの知らなかったカーネット王国の実情は、彼女に疑問を抱かせる。

 ついに追い詰められたエリザとルイス。
 逃げられないと悟ったルイスは、エリザに家族としてではない口づけをして、屋上から突き落とした。下に、『受け止める者』がいると知って――――。

 こうして、ルイスと別れたエリザ。

 落ちていく彼女を受け止めたのは、港で合流する予定だった青年、シアンだった。絶望と喪失、抗う力も意志も全てを失ったエリザは、シアンに連れられ、船へと乗り込む。
 追いかけてきた兵士達。その軍隊を率いていたのは、国王が信頼を寄せていた人物でもあり、カーネット軍の要とも言える男。エイビスだった。
 エリザは涙を流し、彼に語りかける。

 雨の中、届かない思いと言葉を必死に繋ぎ止めようとしたエリザ。ルイスとした約束の為に彼女を守るシアン。カーネットの為、エリザを殺そうとするエイビス。

 その時、突如として船内から爆音と衝撃が響き渡った。揺れに耐えることが出来なかったエリザは、船の外――――荒れ狂う海へと投げ出される。その後を追い、飛び込んだシアン。

 ただ、ルイスと共にいたかった。
 兄と、一緒に生きていきたかった。
 小さな王女の儚い願いは、こうして海の底へと沈んでいくのであった。
 

 

次頁から、新章――――アグランド編が幕を開ける。
 

 

-SF・ファンタジー・ホラー
-, , , ,


コメントを残す

おすすめ作品