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不思議なオカルト研究部 第六話 迷子霊 前編

   

 さて、その面接で直也はいくつかの質問に受け答えしたわけだけれど、じゃあ君、採用――と喜ばしい結果を受け取った後で、もう一つ質問を受けた。それは――
「あ、そういえば君、幽霊とか平気かな?」
「…えっ?」
「いやぁ、実は最近になって急に出るようになっちゃったみたいでさぁ……僕は見たこと無いんだけど、辞めてくアルバイトが口を揃えて言うんだよね。『子供の霊がいるから辞めたい』って。直ぐに盛り塩とか試してみたんだけど、効果無いみたいで……だから一応、ね」
 もっともらしい採用面接が進行していただけに、直也は面食らった。

 

     1

 大学生の夏休みは長い。期間は大学によっても様々だが、概ね八月と九月に渡って、長ければ丸々二ヵ月と云ったところか。
 この長期休暇をどう過ごすかは、それこそ学生によりけりなのだろう。地元に帰って過ごす者、アルバイトに精を出す者、一夏の思い出作りに必死になる者等々……。
 オカルト研究部新入部員の山田直也は勿論、好みの先輩目当てでサークルに入った人間であるからして、しとしと雨の降り続く梅雨時から、早くもアバンチュールな想像を逞しくしていたわけで――彼、レポート詰め込んだアルミの書棚に壁三方を囲まれた部室で、溌剌と諸先輩に尋ねたのである。「皆さん、夏休みってどう過ごされるんですか?」と。
「そうねぇ、私は長く実家に帰るわよ?」
 先ずそう答えたのが三回生の緑ヶ丘翠だった。相変わらず派手な金色のワンレンに差しただけの赤いカチューシャが、蛍光灯の灯りをギラリと反射させた。
「地元の友達と短期のバイトをするつもり」
「私ももりもりバイトっす」
 続けて答えたのが化粧っ気無くも愛らしい顔にボブカットの二回生、石動美也である。彼女は読んでいたレポートから顔を上げてガッツポーズをして見せた。
「実家にも帰るっすけどね、お盆時期なんかパートさんが休むんで稼ぎ時なんすよ」
「俺もバイトだ」
 さらに答えたのが四回生の柳田邦彦。彼はパソコンに何か打ち込んでいて、画面から目を逸らさずに答えた。
「日雇いであちこちの現場に行く。勿論、怪談の蒐集も兼てな。工場怪談、なかなか侮れないものがある」
 柳田の回答はさすが部長と云うべきか、いや、そこまでしないでも……と直也は思ったけれど――とまれなるほど、みんなアルバイトなのだなぁと、このサークルにしか友達を持てていない直也は少しばかり肩を落とした。地味な夏休みになりそうだ……と。

 

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