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不思議なオカルト研究部 第六話 迷子霊 後編

   

 店を出て、石動と別れて直也が思い出したのは、とあるバーの存在である。
『occultism(オカルティズム)』――オカルト研究部のOB、通称カルマなる人物がマスターをしているオカルトバーで、店からそう遠くない位置に立つ雑居ビルの最上階に存在している。
 夜も更け切ったこの時間帯だが、そこはまだ営業しているはずで、大学一回生が仕事上がりに一杯引っ掛けるとは生意気な――とは思うなかれ。生粋のオカルトオタクであるカルマなら、何かヒントとなるような知恵を持っているかもしれない、と考えたのである。

 

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 店を出て、石動と別れて直也が思い出したのは、とあるバーの存在である。
『occultism(オカルティズム)』――オカルト研究部のOB、通称カルマなる人物がマスターをしているオカルトバーで、店からそう遠くない位置に立つ雑居ビルの最上階に存在している。
 夜も更け切ったこの時間帯だが、そこはまだ営業しているはずで、大学一回生が仕事上がりに一杯引っ掛けるとは生意気な――とは思うなかれ。生粋のオカルトオタクであるカルマなら、何かヒントとなるような知恵を持っているかもしれない、と考えたのである。
 そう、直也は帰路の間にも先程の少女のことを考えて、『出たいのならば出してやりたい』と、そう思い始めていたのだ。
 彼女が店を出れたなら、おそらくは彼女を目撃して退職するアルバイトも減るに違いないと、その利害も一致しているように思う。
 何故出ることができないのか? それが直也の疑問であった。
 そうして潜った黒塗りの扉――怪しげなグッズをそこかしこに備え、occultismはやはり通常通り営業していた。
 前回サークルメンバー四人で尋ねた時は、被るであろう被害に怯え、まともに取り合おうとしてくれないカルマであったが、今日は直也が一人とあって落ち着いたものだった。
「よう、珍しいな――」とカウンターの裏から声を掛け、その風貌はともかく、如何にもマスターらしい。
 直也はカルマの目の前に座って、今日の一部始終を彼に語った。
「つまり――出たいのに出れなくて、誰かに出してくれってお願いするような幽霊なんですよ。カルマさん、どう思います?」
「う~ん……」
 カルマはぼさぼさの長髪を振り乱すように頭を掻き、そして言った。
「――わからん」
 あまりの頼り無さに直也の頬杖も滑った。まぁ、頼る相手を間違えたのは直也が悪い。カルマは確かに知識豊富だが、肝心の実体験に乏しい、と云うか実体験皆無な男だ。霊のことなど何百パターン知っていても、ではそれがどんな霊かと問われれば、鑑定など常人並みに不可能なのである。
 しかし、彼はこう続けた。
「まぁでも、幽霊が通り抜けられないモノの代表と言えば『結界』じゃねぇか? 飲食店に結界が張ってあるとは思えないけどな。ははっ、結界を張る霊媒師店長とか、いたら面白そうだけど」
「…結界…………あっ!」
 何か思いついたらしい直也が声を上げ、再びカルマに尋ねた。
「カルマさん、結界って、何で作るモノですかね?」
「お前、そりゃあ色々だ。水晶を使う場合もあれば、護符とか塩とか――」
「それかもっ!」
 カルマが話し終えるよりも早く、パチンッ――と指を打って直也が言った。

 

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