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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season18-5

   2017年3月21日  

 御影と土方は犯人の自宅へむかった。近藤たちは出版社に戻り重役の判断を待つ。

 北区十条に到着した御影たち。犯人の居住先だ。しかし、マンションの管理人に拒否される。御影と土方は一般人だ。探偵という肩書では門前払い。同じ会社の上司の土方も理由が乏しいため拒否された。

 そこへ一台の黒塗りの車が停車した。伯田警部補と黒川刑事だった。

 見習い探偵を罵りながら、自分は警部補に昇進したことを誇示していた。

 そして警察手帳の強みで管理人から鍵を渡された。皮肉を込められたように気分を害するも、しかたがないことだったと御影は認めるしかない。

 犯人の室内へ侵入した。黒川刑事が一人で探索していた。するとベッドと敷き布団の間にあるものを発見した。

 それは核心へと変わり、住人の名前を土方は口にした。

 

 土方が携帯電話で重役に説明した。「今、会社に爆弾が仕掛けられているかもしれない。印刷会社を爆破したのも犯人がいた」

 すぐに警察に通報すると、重役は判断に至った。

 氷室探偵社が直接信頼できる刑事に連絡を取った。その刑事が内々で極秘裏に動くと約束してくれた。

 社員並びに従業員は速やかに帰宅させ、自宅待機となった。

 一方、御影は土方と共にある場所へとむかった。一連の事件の首謀者である犯人の自宅だ。

 監禁されている北萬治氏と沖田がどこにいるか、その居場所のヒントでもあればと二人で行動をしていた。

「すみません、探偵が花粉に負けてしまって」御影は運転しながら助手席にいる土方に詫びた。

「いえ、花粉症は難儀ですよ。近藤編集長は2月から3月は鬱蒼として毛嫌いしてますから」

「たしかに頭がぼうっとしてたんじゃ頭脳を使う探偵の推理力が鈍るってものだけど、行動を共にするくらいできると思うんだけどなぁー」

 御影は愚痴をこぼしていた。

「おもしろいですね、探偵さんたちは…屈託がなくて、正直で上下の厳しさがないような気がしました。実に自由奔放、そういうところがいいですね」土方は飼いならされた犬のように息を吐いた。

「それが会社ですよね?」御影には見当もつかないが、そういうもんだ、ということを同級生で会社員になった友人から聞かされていた。

「そうですね」

 二人は北区十条、最寄駅は十条駅。徒歩で8分のところの古びた四階建てのマンションの四階が犯人と思われる部屋だ。

「ここですか」

「ええ、行きますか?」

「はい」

 だが甘かった。管理人がいるマンションだったが、いくら仕事の関係者であってもプライバシーの侵害になるため開けてもらうことができなかった。正当な理由がない限りだ。頭の固い管理人だった。

「参ったな、とどのつまりだ」御影はがっくしと崩れていた。

 そこに一台の黒塗りの車が止まった。

「おやおや、これは名探偵のところの見習いさんだったかな」男は調子にのった口調で罵る。

「あなたは…」御影はその人物とよく対峙している。依頼があるとどういうわけかSクラスの犯罪的依頼に発展してしまい、警察関係者が現場にいる。そのときいつもこのひともいた。たしか…。

「伯田刑事?」

「いや、ちがう」伯田 春道(はくた はるみち 30歳)。「警部補に昇進した」手帳を見せびらかしていた。

「へぇ、そうなんだ」御影は関心がなかった。

「きみはまだ見習いのままかね?」

「いつになく饒舌だ、政木警部の目の届かないところだとやけに態度がでかいですね」

「やかましい、私はいつもと同じ態度だ」にやりと笑う警部補だった。「そうだろ、黒川」

 黒川 公平(くろかわ こうへい 27歳)刑事は相変わらずおどおどしている。

「はい、警部補」

 無理に言わされている感が否めない。

「黒川刑事は宣伝役ってわけね」御影は黒川に耳打ちした。

 無言で首を振る黒川だった。

「それで探偵、なぜここにいる? それとそちらは?」伯田警部補は土方を見ていた。

「政木警部からの指示でここにきたんでしょ?」御影はいった。

「そうか、ということは出版社の」

「はい」土方は刑事相手にやや緊張していた。

「失礼しました。警視庁捜査一課の伯田警部補です。会社はすでに政木警部という私の上司が伺ってます。爆発物がないか爆発物処理班も調べているところです。内々に済ませたいというのが要望らしいが、警察はそんな隠密行動はしない。表沙汰になっても仕方がないと思ってください」

「わかってます」土方は同意するようにうなずいた。

「探偵」警部補は御影を名指しした。「この四階に住んでいるのが犯人らしいな、手がかりをもとめてきたんだろうけど…門前払いか」

「そうですけど、なにか」御影は探偵という肩書きに行き詰りを諭されたように思った。おそらく氷室探偵ならもっとうまく忍び込むことができるのだろう。正々堂々と。泥棒みたいではなく、マンションの管理人の心に。

「警察手帳は無言でも通してくれる、ふん、みてろ」伯田警部補はそういって管理人のもとに訪れた。

 案の定、無言とまではいかないが管理人は素直に鍵を渡した。

 

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