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SF・ファンタジー・ホラー

マリアベル戦記 第十九話 ドSメイド 7

   

リディアとハヅキの前に、懐かしさを感じさせる青年が現れる。
彼は……

 

「正室じゃなくて愛人になればそういうしがらみからは解放されるけど、さすがに一国の王女を愛人にするのは無理だろうしなぁ」
「というかアオイが他の女の人を正室にするのも嫌です」
「ははは。なかなか独占欲が強いじゃないか」
「あう。だ、だってアオイがその方が嬉しいって言ってくれますし……」
「惚気?」
「ち、違いますよーっ!」
 真っ赤になりながら両手を振る姿はとても可愛い。
 アオイがいなければ自分が口説いていたと思う。
 ハヅキもリディアの事は好ましく思っているが、アオイが彼女に惚れていると分かってからは一線を引いた気持ちでそれを見守ってきた。
 自分は少し興味があっただけだ。
 それならば本気で惚れている友人を優先するのは当たり前のことだ。
 そして幸せそうな二人をそばで見ていられたら、それだけで満足だった。
「というかハヅキ。こんな状況なのに余裕ですね……」
「そうか? 結構焦ってるけどな。でも当面の危険はなさそうだし、せっかくだからアオイの前では出来ない話とかしてみようと思って」
「それが余裕だと言ってるんです」
「でも気分はほぐれただろ?」
「………………」
 いきなり引き込まれた異空間で不安になっているリディアの気持ちを落ち着かせようとして、わざとこんな話題を振ったのかもしれない。
 ハヅキ自身もかなり焦ってはいたが、それでも当面の危険はなさそうだと判断したので、ひとまず冷静になろうとしたのだ。
 まったく関係ない話題で気分をほぐすことにより、今の状況により冷静に対応することが出来る。
「それにしてもここはどこなんでしょうね……」
「それが分かったら苦労はしないんだけどなぁ」
 ようやく話題が戻った。
 わざと脱線させたのか、それともリディアをからかいたかっただけなのか、こうなると微妙なところだ。
「出られる気配もありませんし……どうしましょう」
「そこはルヴェリス次第かな」
「ということは、何か理由があるんですよね」
「ああ。リディアが巻き込まれたのはルヴェリスに触れていた所為だと思うけど」
 あるいは、リディアがルヴェリスに触れたからなのかもしれない。
 ハヅキはその可能性に思い至る。
 所有者であるハヅキが触れてもこんな現象は起こらなかった。
 血筋が近いアオイでも同じだ。
 それなのにエイフラムの血筋であるリディアが触れた途端こうなったということは、彼女自身に原因があると考えるのが妥当だ。
 しかしそこを深く考えることは避けたかった。
 もしもリディアに原因があるのなら、それはひとつの可能性を示唆しているからだ。
 考えたくもない可能性。
 ハヅキと同じように、もしかしたらリディアも……
「………………」
 その先を考えようとして、ハヅキは首を横に振った。
 考えたくない。
 それだけは考えたくなかった。
 事実を否定するだけであっても、今だけは逃げていたかった。
 アオイの為にも、そしてリディアの為にも。
「ハヅキ……?」
 そんなハヅキを不思議そうに見上げるリディア。
「あ、ごめん。何でもない」
「そうですか?」
「ああ。少し考え事をしていただけだ」
「考え事ですか。何かいいこと思いつきました?」
「それが全然」
「ですよねぇ」

 

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