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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season18-11

   2017年4月10日  

 銀座で合流した火守たちと御影。そして目と鼻の先に監禁場所の倉庫があるという。中に入る前に御影は編集部の二人に倉庫の鍵について問う。すると思っていたとおりの返答が返ってきた。

 茂原はその鍵を借りることができない。なら誰がいったい借りたのか。もしくはバレないように盗み出したか。御影の推測は別にあった。

 近藤と土方も御影と同様に察した。もう一人の存在に結びつけた。

 地下へと階段をおりる。うっすらと照明がだだっ広い空間に光を放っていた。そしてご対面だ。

 光を浴びながら、一人の男が佇んでいた。茂原だ。

 近藤と土方が怒鳴り散らすが、茂原はまったく聞く耳なし。すると背後にいた北萬治氏が拘束されている。茂原はナイフを手にして突き立てていた。

 最終的に全員の命を奪い、出版社と倉庫まで爆破するつもりだと茂原は脅迫を口にする。

 その脅迫に御影は歩を進める。突き立てたナイフが北萬治氏にむけているのを見て歩を止めた。この距離感が対話をする距離となる。

 そしてすべての事件の経緯を御影は解き明かしていく。

 

 銀座駅に着いた。森谷だけは出版社の重役たちと残した。仲介役のようなものだ。

 火守、水桐、川上、政木警部、近藤、土方の前に御影も合流した。

「よかった。倉庫に入る前にひとつ確認したいことがあったんです」

「なんだ?」火守がいった。

「へくしょん!」川上がくしゃみをした。「はやくしろ、建物の中に入りたい。花粉が舞っているのが見えるんだよ、俺には…」

 まったく役に立たない川上の猫目だ。

「御影さん、もう倉庫は目と鼻の先ですよ」土方が緩やかに答えた。

 深夜だけある。行き交う人が少ない。車も少ない。夜中の銀座という街は廃墟のような静けさが広がっている。

 空に映る欠けた月も不気味さを演出している。

「土方さん、緊張してください。大事なことです」御影の真剣な眼差しは鬼気迫るものがあった。

 火守だけはその殺気が込められた情熱を感じた。「どういう意味だ?」

「あれが倉庫ですか」御影の目でも確認した。たしかに昔から建っていた古めかしいビルだった。「質問です。あのビルの鍵は誰でも借りられますか?」

 近藤と土方は記憶をたぐるように目線が上方を向いた。そして、二人はゆっくりと答えを導きだし向き合った。

「そうか、えっ、でも…」

 探偵ではない二人には、机上の空論の推理小説がお似合いのようだ。

「やはり二人は混乱しているみたいですね」

 土方はすぐに携帯電話を取り出し電話をかけていた。

「どういうことだ、御影!」火守が急かした。それは当然だ、自分が氷室名探偵の右腕だ。自分が知らないことを知っているとはおかしなことだと思っている。

「その鍵っていうのが問題なんです」近藤がいった。火守は片方の眉を吊り上げた。「社員しか鍵を借りることはできない。派遣の彼には貸し出す権限がないはずです」

 火守は目を見開いた。おかしな話だった。「ということはここはハズレということじゃないのか?」

「いや、アタリですよ火守さん」御影は核心を握っている。その証拠に握りしめた拳を火守たちにみせた。「忘れていますよ、もう一人を」

 近藤はうなずいた。悔しそうに奥歯を噛みしめていた。

「なに?」火守も川上も水桐も検討がつかない。政木警部は今朝の朝食も思い出せないような顔をしていた。

「だいじょうぶ、俺にはすべてが一本につながった」御影の不敵な笑みが浮かんだ。「ここって地下がありますよね?」

 近藤はまた記憶をたどった。「ええ、たしか、ありますよ」

 通話を終えた土方ははっきりとある、と答えた。

「決まりだ、監禁場所は銀座の平城出版社の倉庫地下にいる」御影はそのビルを見つめていた。

「それと、探偵さん」土方は重役に電話をかけて確認をしていた。「アタリです」

 御影は核心を得た、少し下品な笑みを浮かべた。「さぁ、推理を披露と行こうか」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
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