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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season18-15 END

   

 沖田の野望を打ち砕くため、御影は推理をはじめた。

 すべては金儲けだった。インサイダー取引を目論んでいた。著名である北萬治氏を誘拐し、新刊発売の中止というファンを裏切る行為。そして印刷会社を爆破についで平城出版社は信用失墜で株価暴落を狙う意図があった。

 沖田は自作自演の一発逆転の金儲けをした。おかげで平城出版社は下落。しかも茂原や北萬治のことなんて私利私欲のために利用しただけだった。

 誰が傷つくとか考えない卑劣な悪党である沖田の狙いは、倉庫や出版社を爆破するという犯行をすべて茂原にかぶってもらうことだった。

 茂原の単独犯であるかのように思わせていた沖田のサポートは倉庫の鍵を借りて、爆弾を作成し出版社の地下鉄の天井に設置する。印刷会社も、倉庫にも、だがすべて茂原の犯行であるように隠匿していたのを茂原はしらない。

 そのすべての犯行を御影は読み切っていた。

 追い詰められた沖田は手に持つ起爆装置を盾にし、ナイフをギラつかせて投げ放つ。動きを封じたいが沖田に近づけない。

 そんなとき、御影に一発逆転の打開策がひらめく。
 
 

 ついにクライマックス。
 
 

「第十八シリーズ完結」

 

 御影の推理は沖田の野望を砕いていった。

 メディア公表は、平城出版社の信用失墜の目的があった。おかげで報道したとおりに株価が暴落した。

 御影はこれを地下鉄の車両のモニターで知った。

「それが狙いなの」水桐がいった。

「たいした玉だな、こいつ」政木警部の口の悪さが吐露する。

「しかも、インサイダー取引に手をつけたね」御影は土方を見た。

 土方は無念そうにうなずいた。

 近藤も口を挟む。「すでに確認済みだ。刑事さんが特別に株取引の顧客名簿におまえの名前があった。ひとりで数億も儲けているな、失墜する予定を知っている者でなければ平城出版社の株を買ったりはしない。まったくどこでそんな悪知恵を頭に叩き込んだんだ?」

 沖田は大儲けした。北萬治や、茂原のことなんて眼中にない。私利私欲のために茂原を利用し北萬治を誘拐した。メディアに通じることで世間を賑わすキャラが必要だった。

「おかげで報道されてから数時間で株は暴落。あなたは大儲けした。あとは犯行のすべてを茂原さんにかぶってもらう。この倉庫も爆破するつもりだった。出版社の地下鉄に取り付けた爆弾もだ。その手に握る起爆装置はすべてを破壊するための悪魔の装置だ」御影の連続攻撃は続く。

「やるな探偵…まさかそこまで読み切られているとは思ってもみなかった」

「ふん、しょせん机上の空論だ。あんた江戸川 しょうらんの推理小説のファンか?」御影はいった。

「それがなんだ?」沖田は動揺の色をみせた。

「俺の祖父が書いた小説に似た話しがあった。模倣しやがってこのバカが」

「なに…」沖田ははじめて顔色が悪くなった。少しずつ鉄壁の防御壁をえぐっている。

「だが、その爆弾の技術はどこでおぼえた?」

 印刷会社の爆破はまちがいない爆発物によるものだ。それを偽装して人為的な事故としてカモフラージュしたが無理があったことを話す。

「そんなバカな、あれは事故に見えるように…くそっ」沖田は牙を剥いたような顔になった。

「犯行を認めるんだな。もとよりすべて真相は暴かれた。警察は事故で処理するようにいった。なぜかわかるか? これは連続爆破事件になるかもしれないと読んでのことだ。時には真相を布で隠しそのうえに別の真相をみせる。捏造や偽装と指摘されればそのとおりかもしれないが、犯人がいるならその真意を確かめ捕らえるまでは真実は表にださない」御影はきっぱりといった。

 沖田は肩を震わせていた。判断に迷っているのか、それとも抗うつもりなのか、どのみち選択肢はない。

「逃げれないよ、沖田さん」茂原が一歩、また一歩と前に出た。「負けたんだ。爆弾だって印刷会社のを作るだけで精いっぱいだったっていってたでしょ。もうそんな張りぼてと脅しは通じないよ。一緒に監獄の中で罪を償おう」

 沖田は鬼の形相になり、右手を前に突き出した。「まだ、終わっていない。捕まるくらいなら起爆装置を作動させるだけだ」

「それってニセモノってこと?」川上は茂原の顔を見た。

「言い合ってもしかたがない。出版社に取り付けた爆弾はそんなたいしたものではない。警戒する音と煙がでるだけのもの。この倉庫にも爆弾があるというのは嘘だ」茂原はいった。

 なんだ、と力が抜ける一同だった。

「おい、おまえ、それ渡せ」火守が迂闊にも沖田に近寄った。

 沖田は左手をジャケットの内側から細長いナイフを三本握りしめ、火守に切先をむけて投げ放った。

 逃げ惑う火守だったがかろうじてかわした。放たれたナイフは倉庫の壁の木枠に刺さっていた。

「なんか、いい腕してるわね…」感心している水桐だった。

「おしい」川上は寸前にかわした火守の命中しなかったことを惜しんだ。

「てめー」火守は川上を睨んだ。

「まだナイフ隠し持っていたら迂闊には近づけない」水桐が川上の身体の背後に隠れた。

「えっ?」川上は盾にされてたじろいでいた。

 案の定、再びジャケットの内側に左手を潜らせた。細長いナイフが今度は四本ギラつかせていた。

「逃げてみせる。こんなところで捕まってたまるか、不正金だが多額の金があすには入金される。そうしたら僕は一生遊んで暮らせる」再び高笑いをした。地下室は沖田の下品な笑いが響いていた。いつのまにか形勢逆転されてしまった。

 御影はさらにこの窮地を打開する一発逆転の案を練っていた。そしてそれはひらめいた。

 

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