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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season19-4

   

 御影たちは政木警部と警視庁の応接室で密談をはじめた。水桐は敵意むきだしに政木警部の言葉に反発していた。

 これまでの経緯を話す政木警部は、後部警視正から頼まれたが抑圧されたため捜査ができないという。だから外部の探偵に依頼したといった。

 政木警部は経理部へ赴いて帳簿を調べたりしたが、膨大なため時間がかかる。

 ただなぜ、その不穏な金の動きという意味で捉えたのか説明されると、警視正宛てに密告の手紙が届いたという。

 横領なのか、どういうふうに金を奪っているのか見当がつかない。その調査をしてもらいたいというのが政木警部からの依頼。その動きがわかれば犯人が浮上する。

 御影は胸を張って応じた。
 
 

 氷室陣営は政治家小宮山議員宅にマスコミが蔓延っていたためいったん引いた。そんなときだ。

 火守が携帯電話のネットニュースをみて声をあげた。

 直接氷室名探偵に依頼してきた中原議員が、賄賂問題の重要参考人としてその名があがった。

 これまで小宮山議員が濃厚だったが、若き議員がまさかの不正というのだ。警察は事情聴取するため自宅を臨場する。

 だが、どういう理由で小宮山議員から中原へと疑惑が移行したのか、その理由も含めて中原を捕らえる必要がある。だが、すでに逃亡していた。

 そんなとき氷室は火守に頼みごとをする。

 小宮山議員が収賄容疑がかかったときの前後の写真を探してみろと…

 

 御影が運転し、後部座席には水桐と大地がふんぞり返っていた。

「ちょっと、もう少し俺に協力する姿勢をみせてくれますか、せめて態度で」

「あら、そんなこというわけ? リードしているんでしょ、なら目的地まで黙って進んでくださぁーい」水桐は顎で使用人に命じるようにいった。

「このっ」だがそれ以上のことはいえない。

「てか、私たちあの女に指示されて動くのってほんと嫌なんですけど」

 水桐は政木警部のことをいった。

「どうしてですか? 天敵ですか」

「そうじゃないけど…、偉そうで美人だし、氷室探偵に媚び売ってる。それに警部よ、なんかムカつく」

 大地は横でうなずいていた。

「大地さんも同感なんだ、意外…」御影はバックミラー越しにいった。

 三人が警視庁にむかったことはすでに氷室が伝えていた。

「どうも、みなさん」

 御影が電話して政木警部が姿をみせた。

「はい、よろしくお願いします」御影は低姿勢でいったが、水桐は憮然とした態度、大地は軽く会釈した態度だった。

「機嫌わるいの二人は?」政木警部は御影に囁いた。

「いえ、そういうわけでは…」

「ごきげんで仕事なんてできない。あなたの尻拭いしているみたいで気に入らない仕事ね」水桐は遠慮なしにいった。

「なら、やめてくれてもいいのよ、私はいわない主義だし…それに」

 政木警部はそこで言葉を止めた。

「それになによ」高圧的に、いやどこか張り合うように水桐は胸を張り腰に手をあてていた。

「踏み込みすぎると命にかかわるかもしれない」政木がここまでいうのにはぜったいに意味がある。

 御影たちは応接室に通された。六畳ほどの窓のついた明るい室内だが、どこか警察という建物内である以上取調室にしか思えない。

 ちがうのは革製のソファと木製のローテーブルがかろうじて温かみをもたらせていた。

「こんな場所あったんだ」御影が関心していた。

 御影は一人用ソファに腰をかけ、水桐と大地は並んで二人用ソファに腰をかけた。政木警部は一人でパイプ椅子を取り出し、お茶をそれぞれの前に置いて話す準備はできた。

「えぇーと、警視庁の経理部で勤務している女性の職員がいるんだけど…」

 疋田 芳美(ひきた よしみ 24歳)、まだ二年目の新米だ。

「その女性がなにか」御影はいった。

「警視正から頼まれて、どこかから警視庁内の金が横流しされている。という密告のような手紙が届いたの、それを私が単独で調べるよう言われたのよ」

「へぇ、なら一人でやればいいんじゃないの?」水桐が皮肉をこめた。

「そうなんだけどできなくなった。凍結になったのよ、この件に関してね。もう調べてはならないと…」

「それで自由に動ける探偵に依頼ですか」御影はいった。

 もとよりここまでは氷室から聞かされていたことだ。御影は納得していた。

「かなり上のひとが口を挟んだようなの、その抑圧は警視正も聞かざるを得ない。でも一度引き受けたことをないがしろにはできない。だから答えを見いだしたいから氷室さんに頼んだんだけど、なにやら厄介なことが重なっているみたいね」

 政木警部は身を案じるように探偵社を心配していた。

「あなたに心配してもらわなくても、氷室探偵社は傾かない」水桐は息巻いた。

「そう、それならよかった。私はあまり目立った行動はできないけど」

「いえ、俺たちは探偵ですから」御影は胸を張った。

「たくましくなったわね、御影探偵さん」

 御影は背筋を伸ばした。ちょっと照れてしまったのだ。

「まだ見習いですからね、彼は」水桐はすぐさま訂正した。

 

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