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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season19-7

   

 氷室たちは多比良の疑惑を抱きながら中原の訃報を聞いた。

 すでに氷室は他殺を視野にいれていた。そこへ政木警部から電話。どうやら中原の司法解剖で死因などを連絡してきた。

 犯人はまだわからないが氷室は小宮山議員の周辺の人物だとにらんでいた。これまでの経緯を考えればおのずと答えがでる。

 氷室はこの事件が過去の因縁に光をあてることができると考えている。

 それはすべて警察側の御影たちにかかっていると口走った。
 
 

 御影に氷室の意思が届いたのか、恐れをしらない場所へ踏みこもうとしていた。

 方面本部長の本山の執務室へとむかう。だが、政木警部が三人の行く手を阻む。

 今は不在といって御影たちの立ち入りを拒んだ。だが、代わりに御影たちには中原議員が殺されたことを伝えた。

 三人を応接室まで連れていく。

 扉を開くとそこには伯田警部補と黒川刑事が待っていた。政木警部は警部補らに説明を促した。

 そして新たな事実を知る…

 

「多比良がどのような嘘を?」火守が運転する氷室に訊ねた。

 中原となにかあったはずだ。しかし、それを火守に話す前に中原の訃報がネットニュースでも更新されていた。

「これで決まりだ…」氷室はパズルのピースがそろったように目を輝かせた。

 だが、まだなにかある。もっと後ろ暗い闇が蠢いている。

「氷室さん、多比良はなにかを隠している、それって中原を落としこんで、黙らせる。死人に口なしってやつですかね…」

「まだわからない。中原の死因は事故死でも自殺でもない。他殺なのはまちがいないだろう。ただその犯人が…」そこで氷室は考えるように言葉を止めた。

 火守も黙った。考えることにした。氷室にばかり答えをもらうのは探偵らしからぬ言動の数々だった。

「中原を殺害する動機のあるのは小宮山氏…、さきの襲撃もあって返り討ちにあった。いや、それではあまりにも安直すぎる…」

「死因がわかればな…、外傷がないということだが、薬か窒息かだろう。鑑識がすぐに答えを導きだす。そうすればおのずと道は開かれるだろう」

「そうですね。そうなれば該当する者は浮上する。小宮山氏は中原のことで疑惑が晴らせなくなったんじゃないすか。第一重要参考人となった中原は警察に追われているというのに、その人物を死なさせてしまったら、もはやうやむやになってしまう」

「それでも警察は小宮山氏に事情は聞く。中心がダメなら周辺から縮めていく。時間のかかる地どり捜査だが、もっとも捜査力をあげている手法だ。警察を舐めたら小宮山氏程度の策略ではすぐに暴かれる」氷室は皮肉をこめていった。

「我々をおちょくるからこんな目に合うんだ。ざまぁーない…」マスコミのせいで門前払いをくらい憤慨する火守だった。

 氷室の携帯電話に着信が入った。路肩に停車した。

「政木警部ですか、どうかしました? はい、ネットニュース見て、議員の中原氏のことしりました。えっ? やはり他殺ですか…、青酸カリですね、遺体が発見された公園の茂みに…、わかりました。犯人の見当は? そうですか、まだ…、ならひとついっておきます。小宮山氏の周辺の人間を調べてください。やはり小宮山氏を潔白にさせるため働きかけたように見受けられます。そして切り捨てるように犯人に仕立て上げられた人物がいる。極道ではよくある駒使いのようなものです。頭がいれば再構はできるが、手足だけでは四方八方へと散ってしまう。おそらく小宮山氏はしらないところで第三者が指示しているような気がします」

 氷室の見立ては探偵としての推理として妥当であった。火守も同感だった。まだ証拠らしいものはなにひとつとしてない。だから秘策にでるしかない。

 通話が切れた。すると火守はすぐに問いただした。「中原さんの司法解剖やったんですね。なんていってましたか?」

「警察は死因の原因はつかんでも、犯人までは見当もつかないといっていた。公園近くの住民に聴きこみや周辺の防犯カメラから該当者がいないか確認中だといっていた。事件の経緯をまったく理解していない。不甲斐なさが露見したな」

「御影たちが警視庁にいっているはず、なにをしているのか…」火守はハンバーガーを食べ始めた。さっき出店で買っておいた。ドリンクも。やっと腹に詰めこめる。

 氷室に手渡しているが、パズルを嵌めこむのにまだ手をつけていなかった。

「彼らはべつの依頼を追いかけている。中原氏のことは無縁だろう」

「でも知恵を貸すことくらいはできるとは思うけど…、あぁ、そうか口出ししたらそれだけで飛び蹴りされそうだな。水桐なんて諍いの種だ」

「政木警部とのことをいっているのか?」氷室はくすっと笑った。

「いえ、こわもての刑事連中のことです」

「それはいえてる。それが刑事の職務のようにな」

 二人は大笑いした。

「だが、この事件において、わたしの大きな事由が介入する。解決に導くには“御影くん側にかかっているといっても過言ではない”」

「御影たちに? ということは警察内部の汚職と関係が?」

「それはわたしの過去の因縁にもかかわっているだろうな…」氷室はいった。

 火守はそこまで氷室の過去をしることはない。ただ、刑事時代の氷室は輝かしい功績をもっていない。まるでアイドルのように宣伝役で引っ張りだこになっていた、というのを過去の記事で読んだくらいだ。

 やっと氷室は火守が購入してきたバーガーを紙袋をむくようにして食べた。

「うわっ、なんだこれ」氷室は驚いた。

「わさびチーズ厚切りポークのハンバーガーです。味付けは濃いめの黒酢照り焼きソース、ちなみにドリンクはスッキリ白ぶどうの炭酸水です」火守は大好物だといわんばかりに頬張っていた。

「最近のジャンクフードとはこういうものか、パンチが効いているな」

「ええ」誇示するように返事をした火守だった。

 

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