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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season19-9

   

 政木警部は中原を殺したのは小宮山議員のところにいる多比良が犯人だと思っていた。

 しかし、御影たちはそうは考えていない。そう考える根拠がある。

 すべては押収物の証拠品でもある現金の札束を横流しするさいの状況だ。だれが運んでいるか。その人物を思い浮かべるために状況を把握すると御影の推理どおりになってしまう。

 政木はそうなると黒幕が誰かを悟り困惑する。
 
 

 氷室の携帯電話に御影から着信。双方行きついた答え合わせのために合流し真相を明らかにする。

 政治家の賄賂疑惑の犯人は中原ではないと思っている。火守は、ネットで中原のことで炎上しているのを閲覧し、せめて中原の家族だけは救わないと、と同情する。

 氷室も、探偵は常に真実を明らかにする、と決め台詞を口にしついに決着の舞台へ…

 

 政木警部も多比良だとにらんでいた。「探偵さんは、だれが犯人だと考えるわけ?」

「まず、こう考えます。警視庁にある押収物の証拠品でもある金をだれが運びだすか」御影はいった。

 政木警部だけは察しがよくすぐに気づいた。「そうね、たしかにそうなると…、困る結果になる」

「どうしてですか?」御影はそれには驚いた。

「だって、それってあなたがいうとおりになってしまう。警部である私が乗りこむしかないじゃない…」

「さすがに読みは早い」御影はちいさく拍手した。

 伯田と黒川は目を丸くさせていた。

「えっ、だれ?」

「アポイントメントを取らずにさっきからずっと踏みこもうとしていた本山方面本部長になっちゃうのよ」政木警部は頭を抱えた。

「本山方面本部長がこっそりと保管庫から取り出し狩谷に手渡す。運び屋としてその記録にもあるように持ち出しは狩谷自身かもしれない。しかし、それを咎めない方面本部長ではない。これは容認していると考えるのが筋だ。どちらにしろ運び屋は狩谷となる。その金は政治資金として小宮山議員の事務所に入る。裏金は賄賂として化ける。これがいま問題になっているニュースだな」御影はスラスラといった。

 伯田は開いた口がふさがらないようすだった。

「だから、もしかしたら指示をしているのは本山方面本部長かもしれないという疑念がうまれちゃうわけよ」政木はがっかりとしていた。

 本山を指す証拠が見つかれば逮捕は確実だ。

「多比良は小宮山議員を影で支えるために資金が必要だった。多比良は狩谷から金を手渡された。もっとも今回の収賄容疑の疑惑が報道されなければ中原氏が罪をなすりつけられることもなかっただろうが、残念な結果になった。いつの時代も弱者や若輩者が消えていくものだ」

 御影は自分もまだ見習いだが探偵社の面々に自分を使い捨てるという発想者は誰ひとりいない。探偵になってよかったと思っている。

 これが筋書だ、と探偵は読み解いた。

「ちょっと氷室さんに電話します」

 

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