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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第16話「天使と呼ばれていた者」

   

シエロから聞かされたルイスの正体。そして感じ始める自身の答えに、エリザは戸惑う。

「私は彼の妹なのに、彼の心に踏み込めていなかった」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週更新】

新章 第16話「天使と呼ばれていた者」

 

 
「師匠…? 何を仰っているのですか? 彼は…私の兄は人間ですッ」
「何故そう言いきれる?」
「だって、そんなこと今まで一度だって聞いたことがない…!」

 私は師匠から聞かされたルイスの正体に驚愕していた。

 生まれてからずっと一緒にいた存在。どんな時でも互いを信じ、傍にいた、血の繋がった大事な家族。そんな兄が人間とは異なる存在だと私は知らずに生きてきた。

 ルイスが私に何かを隠しているのは気がついていた。行く先々でその片鱗が見え隠れしていたからだ。だが、それを踏まえたとしても簡単には納得が出来ない。

「兄様とは、ずっと一緒にいたんです。私に残された唯一の家族で……それなのに」

 それなのに、そんな大事なことを聞かされていなかった私は、彼にとって一体何だったのだろうか。
 虚脱感を覚えて、私は額に手を当てた。頭が割れそうに痛む。

「私の兄なのですよ……血の繋がった実の兄様……そんな彼が人間達の手から逃れた生き残りだとでも言いたいのですか…?」
いいや、それは違う
「え…? なら、どうして天使だなんて…」

 あの絵本に書かれていた物語は、過去に実際に起きた出来事だ。ルイスを天使とするならば、この物語で言う『国外へ逃れた民』の末裔と考えるのが妥当ではないのか。
 ――――いや、そうなればルイスとの血縁関係が揺らいでしまう。

「私と兄様は……もしかして」
「正確には、坊っちゃんは天使のなんだ」
「…!」
「お前達は兄妹さ」

 ――――『輪廻転生』。百年巡った魂がもう一度この世に生まれ出ること。それならば、私とルイスは血の繋がった家族だと断定出来る。

 大きく溜め息を吐き出して、額から手を離した。ルイスの姿を思い描いて、私はペンダントを握り続ける。
 彼が私に隠していた自身の正体。どうしてそれを師匠が知っているのだろうか。このタイミングで私に話した理由とは一体何なのだ。

「ですが師匠。どうしてそれをあなたが知っているのですか?」
「…………」
「私が知らない兄様の真実をどうしてあなたが?」

 答えない彼に続けて問うと、師匠は一度深く考え込んだ後に口を開いた。

ベルに会うんだ。あいつなら全てを知ってる」
「! 父様にですかっ?」

 

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