幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ショート・ショート

いつもと違う日常のススメ

   

 いつもと違う日常を送りたくなって、咄嗟に会社を休み、目的も無く、電車に乗り、知らない街へと降り立った早乙女涼介38歳。
 そこで出会った風俗嬢のハル子は、とても気さくで、今までの日常では決して出会う事なない女性であった。
 全く違う世界で日常を送るハル子に、涼介は非常に興味深い思いが胸からムクムクと込み上げ、また年上であるハル子の飾らない程よい色気にも魅力を感じていた。

 

 午後12時、早乙女涼介は、都心から地方へ向かう電車に揺られていた。

 今朝の涼介は、いつもの時間にベッドから起き、洗面所へと向かったのだが、なぜかいつもと違う日常を送りたくなった。
 そう思うと、居ても立っても居られらくなり、スケジュール帳を開くと、今日重要な要件の仕事が入っていない事を確認し、直ぐに会社に電話を入れた。

 電話の向こう側では、すでに出社していた上司である杉本の声がした。
 若々しくとてもハリのある声は今年50になる事を感じさせない程、ハキハキとした受け答えであった。
「はい。○△商事です。」
「おはようございます。早乙女です。」
「おう。早乙女か。どうした?」
「すみません。今日は体調を崩してしまい、休みを頂きたいのですが…。」
「おう。そうか。お前このところ、根詰め過ぎてるようだから心配していたんだ。せっかくだからゆっくり休め。」
 涼介は、なんだか心の奥を見透かされたような気がして慌てて
「本当に申し訳ありません。よろしくお願いします。」
 と言ってすぐに電話を切った。

 それから涼介は、黒い布のトートバッグに、カメラ・携帯・財布等の必要な物を詰め
 むと、急いで身支度を整えた。

 白いオクスフォードシャツに、ベージュのチノパンを履き、上には薄い緑色のカーディ
 ガンを羽織った。
 5月とは言え、今日は幾分肌寒い気がしたからだ。

 アパートを出ると、5分ほどの場所に地下鉄の駅がある。
 涼介が改札を抜けホームに降りると、丁度地下鉄が入って来た。
 そのまま上野へ向かうと、JRの改札口で少し考えた。
 結局、1本の地方へ向かう電車に乗る事を決めた。

 と言う訳で、今のこの時間この時間に揺られていたのだった。

 そろそろ1時間は過ぎたであろうか。
 その時電車内にアナウンスが流れた。

 

-ショート・ショート
-, , ,