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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season19-10

   

 多比良は否定するも殺人犯として小宮山議員は咎めていた。

 氷室は賄賂疑惑の犯人、それと中原の殺害の教唆という罪を多比良に投げつける。

 中原を殺したのはべつにいる。すかさず氷室は指を指した。それは、体格のいい警官の中にいた男だった。

 小宮山議員のボディーガードである狩谷 一真だ。なぜ警官になりすましていたか、それは多比良が余計なことをいわないよう見張るためだった。

 しかしすでに氷室に正体を見抜かれていたため警戒されていた。狩谷が何を守ろうとしたか、それは雇い主の名だ。

 動きを封じるために政木警部らは銃口をむけていた。

 ここからは氷室の推理ショーだ。しびれをきらしすべてを述べていく名探偵に追いこまれていく犯人は敵意の目をむける。

 取りこぼしがないように御影は氷室の影となり言葉を挟む。両局面で分散して調査をしてきたからの相乗効果推理だ。

 

 うつむいた顔をあげる多比良は動揺を隠せない。「ち、ちがいます、それは…」

 歯切れの悪い多比良の言葉に自分が殺人犯として疑われていることを必死で否定できずにいた。

「多比良さんはあくまで賄賂の疑惑の犯人という容疑。それとある人物に小宮山議員の疑いが晴れるようにするため、中原を殺し犯人に仕立て上げるという指示をだした人物である。殺人教唆というものだ」氷室がいった。

「中原を殺した犯人はべつにいる」政木警部が続けていった。

「だれが?」職員の女性が今度はいった。

「中原の政治家としての人生、さらにその命をも奪ったのはあなたです」

 氷室はその場で指を指した。

 体格のいい警官の男に指先がむいた。氷室は勘違いしているのではないか、と誰もが思ったがよくみればそれは。

「小宮山議員…、のボディーガードである…、狩谷 一真さん」

 警官の制服を着こなしている。普段は黒いスーツ、もしくは清掃着を着こなしていたが、このときは完全に装っていた。

 氷室が感じた鋭い殺気のような刃はこの男から放たれていた。おそらくこの場で命を取るつもりだったのだろう。逃げることも考えず、ただ口封じのためにこの場で殺害するつもりだったのだろう。その殺意は大地だけではなく、探偵たち全員が感じとっていた。

「警官に紛れて小宮山議員宅に入っていったのをみました。客観的にみることで全体像がみえてくる。基本ですよ」

 小宮山議員のボディーガードとして狩谷のほかに似たような体格ばかりが数名いる。その中で屈強で肉体派であるがスマートな体形が特徴といってもいい。

 目立つその体躯はやはり、この場では目立っていた。

「ぐっ…、罠だったのか、小宮山先生のそばにボディーガードがいないのが不自然だったのが気になってはいたが…」

 狩谷 一真(かりや かずま 24歳)。まちがいない。小宮山議員のところでボディーガードをし、警視庁内に清掃員として潜入していた人物にまちがいない。

「答えてもらえますか? あなたもまたいったいだれに頼まれたのかを」氷室はいった。

 すでに政木警部が銃口をむけていた。伯田や黒川も同様に構えた。

「俺が犯人だと、いつわかった?」狩谷の重々しい口ぶりが響いた。

 不適に笑みを浮かべる氷室は厳かにいった。「なら、それを解き明かしてみせよう」

 

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