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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第17話「託された欠片」

   

亡の欠片――――。

「城に仕えていた使用人からもらったんです。」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週更新】

新章 第17話「託された欠片」

 

 

***

「ルイスが…天使、か」

 正しくは、その『生まれ変わり』。師匠は昨日私に向かってそう言った。
 ルイスとは今まで共に暮らしてきたが、私は何も知らなかった。彼の真実に触れることが出来なかったのだ。

「悔しい…」

 何も知らずに妹を名乗り、愛されて続けてきた自分が滑稽に思えた。
 青い海を見つめて、私は眉を寄せる。考え事をする時には必ずここで海を眺める。そうすると、自然と考えが纏まるのだ。だが、今回ばかりはそうもいかない。私はこのペンダントが天使の国にまつわるものだということも知らなかったのだから――――。ルイスは何の目的があって私にこれを渡したのだろうか。その答えもルイス以外は知りようがない。

「…あなたが私の兄なら、どうしてあの時私に…」

 口づけなんてしたのだろうか――――。

 抱えた両膝に顔を埋めて、私は記憶を呼び覚ます。意識が飛ぶほどの爆風と、全てを崩した燃え盛る城。そして、私の首にペンダントをかけるルイス。掴まれることのなかった手の平。バラバラに思い出される私の歩いてきた道。
 私とルイスはいつも傍にいた。一緒にいると誓った。母様の為に孤独を選んだ。
 私達が兄妹だという事実は消えない。私達は運命の元にある。

「…兄様、答えを教えてよ」

 私はもう一人では何も考えられない。

姉ちゃーんッ!
「!?」
「おいエリザ!! 朝飯も食わねぇで何やってんだ!!」
「師匠……キール……」

 駆け寄ってくるキールに手を伸ばして抱き締める。突然の私の行動にキールは驚くことなく、されるがままになっていた。

「どうしたの、姉ちゃん」
「……ごめんなさい」
「ご飯食べなきゃ元気出ないよ」

 震える私の肩に師匠が手を置いた。彼は私の悩んでいることに気がついている。呆れたように私の腕を掴むと、砂の上から立ち上がらせた。

「エリザ、昨日のことか」
「師匠……」
「お前は考え込みすぎるんだ。少しは休め」
「十分休みました。私にはこれ以上の時間はない…」
「……お前はここにいても望むものは得られないぞ」

 師匠の言葉に私が勢いよく顔を上げる。
 私が望むもの。それは、全てを取り戻す為の力だ――――。

「そ、それはどういうことですかっ」

 私に教えてくれると言ったのは師匠だ。約束を違えるというのか。

「今のお前じゃ使いこなせねぇよ。そのもな」
「教えて下さると言ったのはあなたでしょう!! どうして突然そんな…!!」
「条件があるんだよ」
「条件、ですか…?」

 キールから身を離して、私は師匠の前に立った。

 

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