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SF・ファンタジー・ホラー

DISCORD BRAKERS – 2 [ 10 ]

   

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

 割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

そして。
奏達は明日の待ち合わせ場所を決め、その日はお開きにすることにした。
そんな中、最後の最後までアルは「キラ様! キラ様も僕と一緒に暮らしましょう! 絶対にその方が都合もいいし幸せなはずです!」とか何とかごねていたが、
「まあまあ。行こうよ、アル。僕だって、藤崎先輩と一緒に暮らせたら楽しいだろうなあと思うけど、それも早々出来ないんだよ? 大丈夫、希望さえ持っていればきっといつか願いが叶うよ。だから今日は帰ろう? ね?」
と、そんなアルに対し、伊織がよくわからない説得をしつつもアルを落ち着かせ、引き取っていく。
「ねえ、キラ。キラはアルに随分と好かれているのね」
そんな二人を見送り、リビングを片づけながら奏はキラにそう語り掛ける。

――一応キラには気を使った表現をしたけれど、あれは好いているというよりも、愛だ。絶対にあれは、特別な感情でキラを! 奏がそんなことを思っていると、
「アルは二年前までは、我らの騎士団ではなく、実は国でも有名な剣術道場で若くして師範をしていたのだ。アルはもともと貴族の家柄でもあるし、別に城に仕える必要もなかった」
「ああ、だからこう、どこか高圧的というか……何となくわかるわ」
「それに以前は今よりもこう、気持ちが廃れているというか……どこか尖った感じだった。だがある時、手合わせをする機会があってな」
「キラと? どっちが勝ったの?」
「運が良かったのか、私が三戦三勝だった」
「……キラのほうが強かったのね」
「それ以来かな、剣術に更なる向上心を持ったのか、道場をやめてわざわざ騎士団にも入団してきたのだ。それがいまや、私に負けず劣らない愛国心の塊! 今回も私を助ける為にこうしてこちらの世界まで! アルは本当に素晴らしい成長を遂げているし、若いのに感心な人物なのだ」
キラはアルについてそんなことを言いながら機嫌良さそうに微笑んでいる。
「はは……」
奏はそんなキラに苦笑いをしながらこっそりとため息をついた。
――きっとアルは、退屈な貴族としての生活に嫌気がさしてわざわざ道場に通っていたのに、その道場でも自分よりも強い人間になかなか出会えなくて、毎日が面白くなかった。だから退廃的な態度をとっていたのではないか。
家柄が良ければ、恐らく小さいころからちやほやされて育っていただろうし、皆が蝶よ花よ、と接してきただろうし。それになんといっても超絶イケメン。金持ち・イケメンじゃ女の子だって選びたい放題だろうし、本人が希望しなくても女性は寄ってきたはずだ。最も、本人は興味ないみたいなのでそれも鬱陶しかったのかもしれない。
そこにキラが現れた。アルはいつも通り戦ってみたものの、なんとそこでこてんぱんに負けてしまった。しかも三度も。
もしかしたら人生でそういう経験が初めてだったのかもしれない。
自分と同じ年頃なのに城に仕え、そして腕も立つ。皆の先頭に立って、国の為に戦っているキラ。それを見て、感化されて――尊敬して、慕って、あまつさえ恋までして、常に一緒にいたいと思っているんじゃないか。
愛国心うんぬんについては、アルにとって大好きなキラがそう言っているから、一緒に付き合ってそんな風にふるまっているような気がする奏である。

「……キラ、形はどうであれ、アルの気持ちを大事にしなさいよ」
「それは判ったが……?」

奏は、アルの「気持ち」に全く気付く素振りがないキラに一言そう忠告するも、個人的には超絶イケメンとイケメンの恋愛模様を見たいような見たくないような、いややっぱり――と、若干不純な妄想を思い描きながら一人、今後の事を思いため息をついたのだった。
 

 

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