幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ノンジャンル

家元 第三部 琴乃(前編)

   

志乃は娘との諍いを機に考え方を変え、誰もが踊りを習へるよう、「苑田舞踊教室」として新しいスタートを切った。幸い、教室は満員で、順調な滑り出しとなったが、娘との溝は埋まらなかった。

その頃、三田村琴乃という福井県若狭の高校を出たばかりの女の子が教室に入ってきた。

「盆踊りでも、もっとまともに踊る。」

最初はそのレベルでしかなかったが、熱心に教室に通う姿勢は、志乃も感心していた。

久し振りに若狭に帰省した三田村琴乃は、地元の盆踊りに参加し、皆から「上手やな。」と褒められたが、いやな話も聞いてしまう・・

支えてくれる夫に助けられ、新しい時代に適合するよう、考え方もやり方も改めた。

 

 
新しい時代
 

娘との諍いを機に、志乃は変わった。

「やり方を変えればええ。」

支えてくれる夫に助けられ、新しい時代に適合するよう、考え方もやり方も改めた。

「踊りは楽しいもの」

これまでは精神修養に重きを置いていたが、それは否定しないが、楽しくなければ長続きはしない。

手始めに、堅苦しい「師匠」、「弟子」などの言葉を使うのを止め、「先生」、「生徒」とし、稽古場も「苑田流稽古場」から「苑田舞踊教室」とし、看板も掛け替えた。

そして、大きく門戸を開放した。
これまでの個人教授だけでなく、謝礼を安くしてグループでの稽古を始め、会社勤めの若い女の子も受け入れるようにした。

「なんや、女工と同じ扱いか。」
「どこぞの馬の骨と分からん者とうちの娘を一緒にせんで欲しい。」

娘の習い事先として、古くから贔屓にしてくれていた名家などからは嫌われ、花柳界からも「素人と一緒じゃかなわない」と敬遠されたが、これでいいと割り切った。

時代は女性解放へと向かう。

「自分のお給料でも踊りが習える」と評判となり、入門を希望する者が増え、収入は以前よりも多くなり、それどころか、教室が足りなくなってしまった。

 

-ノンジャンル
-, , ,


コメントを残す

おすすめ作品