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SF・ファンタジー・ホラー

DISCORD BRAKERS – 3 [ 1 ]

   

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

 割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

宝玉は、「火」「水」「風」に関する何かに関連した場所に飛び散ったということがわかった奏達は、この街で残る一つの「風」の宝玉を探すべく、「風」に関連した場所に当たりを付けて探してみることに決めた。
いくつかは地図上で候補を挙げたものの、実際見てみないとわからない。勿論奏のエメテリオで反応を確認すればよいが、平日は部活動がある奏、そして伊織は、そんなに自由に行動も出来ない。その為、キラとアルが散策に出ることとなったのだけれど――キラのことが「大好き」なアルに至っては、キラと二人で久しぶりに行動できることがよほど嬉しいのか、割と深刻な状況というのに関わらず、ニコニコと笑顔を浮かべている。いや寧ろ、「邪魔者は早く退散しろ」とでも言いたげな目で奏と伊織――主に奏をだけれど、威嚇しているところは若干頭が痛い奏である。
そんな二人は、人間の姿だと色々と面倒くさいそうなので、黒猫・茶色い猫に姿を変えて、奏たちの元から離れていった。部活が終わるくらいの時間に戻ってくるとは言っているものの、これまでの事もあり不安が山積みな奏は、まるで「初めてのお使い」に子供を出す母親のようなそわそわとした心境で二人を送り出したのであった。
 

「……遅いわね、あの二人」
二人を送り出してから二時間後。部活が終わった奏と伊織は、昇降口のところで二人が戻るのを待っていた。
外はすっかりと装いを変え、既に夕刻。オレンジ色の鮮やかな色合いが校舎と校庭を幻想的に染上げていた。だいたいの部活も終了しているせいか、校舎も校庭も人はまばら。中も静まり返っている。
本来、幻想的な夕暮れの人気のない昇降口で男子と二人で佇んでいれば良い雰囲気になってもおかしくないようなところだけれど、なんせ待っているのは問題山積みの二人。奏はどうにもこうにも落ち着かない。
猫の姿のまま妙な事をしていないか、誰かに捕獲されてしまっていないか、あまつさえハチミツを見つけて妙な食べ方をしていないか! 
「ああ、大丈夫かなあ……やっぱり探しに行った方がいいかなあ……」
はじめてのお使いを見守る母親って、きっとこういう感じなのね。奏は校門へと目をやりながら昇降口内をうろうろと歩き回っていた。と、そんな奏を見かねてか、伊織が奏に話しかけてくる。

「藤崎先輩」
「え? ああ、どうしたの? 伊織くん」
「アルって……多分、キラさんのこと好きですよね」
「ああ、そのこと……」
「最初は僕の勘違いかと思っていたんですけど、先程の様子を見て確信しました。アルは、キラさんの事を後輩とか仲間として慕っている、という感じではないですよね。あれは恐らくその……」
「……でしょうね」
「ああ、やっぱり」
伊織の言葉に、奏は半笑いで小さなため息をつく。
どうやら伊織も、アルのキラに対する並々ならぬ気持ちに気がついていたらしい。逆を言えば、だれがどう見てもそう見えるという事なのに、全く気が付いていないキラの鈍感さがある意味恐ろしいというか羨ましくも思える奏である。
「そのことについて、昨日キラに聞いてみたんだけど……」
「え、まさかストレートにですか?」
「まさか。でもねえ……」
奏はため息をつきながら、昨日のキラとの会話を振り返る。

そう、アルのあからさまなキラへの愛はともかく、実際にキラはどうなのか。奏は一応確かめて思うと思ったのだ。
世の中には色んな恋愛の形があるし、実際奏たちの世界では、同性同士での結婚を認めている国だってある。もしかしたらルーン王国もそうなのかもしれないし――二人が実は愛し合っていたら! と、イケメン同士のめくるめく世界を一応は想像しつつ、「アルの気持ちを大事にしなさいよ」とアドバイスした後に、改めてキラに聞いてみた奏であった。

 

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DISCORD BRAKERS - 3 第1話第2話

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