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SF・ファンタジー・ホラー

ロボット育児日記6

   

「プライベートに関わる事だから、強制は出来ないのだけど。ここ1ヶ月の記憶を覗かせて貰えたら話が早いんだけど。貴方、見たところ人間だから簡単に記憶操作も出来ないでしょ。もし、何らかの形で記憶操作してたら、その痕跡はわかるわ。ただ、これは不必要な記憶まで見ちゃう事になるから、よく考えて」
 桜木霞が冤罪だと証明するために用意された油断は、情けない程に残酷なもので…。
 SFラブコメディ!!

 

 俺はする事もなく、ぼんやり天井を見つめていた。さっきうたた寝してしまったせいか、暫くは眠れそうもないし。
 ふと考えてもみたら、牢の中でも警察署には変わりないので、ここに居る限り安全は確保されているんだろうな。
 さっき携帯で電波を確認したときに、ついでに時間を確認したら、夕方だった。そういえば、お腹空いたな。結局出して貰えないのなら、さっきあの美人さんにご飯くらいお願いすればよかったな。
 と、くだらない事を考えるのも疲れたので、通信無しで遊べるゲームが入れてあるのを思い出したので、それで遊んでいた。
 上から降ってくるブロックを組み合わせ、横に隙間無く繋がれば消えるというレトロなゲーム。レトロだけど、俺は割と好き。ロボット達には物足りないらしいけど、それなりのマニアもいるらしく、このゲームはなくならない。暇つぶしにも丁度良いし。
「今度はゲーム?」
 美人さんの声がして、俺は起き上がりながら振り返った。
「ほんっと、呆れるわね。あんた。こんな状況なのに」
 美女は牢の鍵を外していた。
「おかしな真似したら即撃ち殺すから、変な気起こさないように」
 そうか、この美女の正体は悪魔なのか。
「何もしませんよ。大人しく従います」
「そう、賢明だわ」
「で、一つだけお願いがあるんですが」
 牢の扉を開けようとした美女の手が止まった。一つ間を置いて、彼女が「なに?」と緊張感のある声で問うた。大した事ではないので、ハードル上げるの止めて欲しい。
「お腹空いたんで、何か食べ物くれません?」
 扉を閉めたまま、美女は無線を取り出した。
「カツカレー2つ。1つはサラダとスープ付きのセット。直ぐ、取調室に運んでおいて」
 そこはカツ丼じゃないのか、と思いつつ。
「あの、誰か他に居るんですか?」
「はあ? 私の分に決まってるじゃない。お腹は空かないけど、あんたが食べてたら私も食べたくなるでしょ」
 なんか、可愛いな。
「そ、そういうもんですか」
「そういうもんよ」
 美女は牢の扉を開けると、俺に手錠を掛けた。俺はそのまま、されるがままに連行された。
 部屋を移動している間、ここが地下だった事に気付かされた。最初に連れてこられた時は、突然だった上に大人数に囲まれていたから、上なのか下なのかもわからなかったけど。
 取調室だと思われる小部屋に入ると、若い女性がコーヒーを出してくれた。
「ありがとうございます。意外と親切なんですね」
「まあ、それなりにしないと話したくなくなるでしょ」
「まあ、意地も出てくるでしょうしね」
 こっそり周りに目をやるが、どうやら水を張った洗面器も電気椅子的なものも、見当たらないようだ。この後、出てくんのかな。と考えていたら、見透かされた。
「拷問なんて趣味悪いことしないわよ。嘘発見器くらいは、使わせて貰うけど」
 彼女は俺に、一枚の紙を差し出した。
「プライベートに関わる事だから、強制は出来ないのだけど。ここ1ヶ月の記憶を覗かせて貰えたら話が早いんだけど。貴方、見たところ人間だから簡単に記憶操作も出来ないでしょ。もし、何らかの形で記憶操作してたら、その痕跡はわかるわ。ただ、これは不必要な記憶まで見ちゃう事になるから、よく考えて」
「というと?」
「お風呂とかトイレとか性行為とか……」
 俺の顔が紅潮するのがわかった。
「まあね、だから貴方程度だと強制出来ないのよ」
「……でも、無実が実証されるんですよね」
「まあ、早いわね」
 丁度、カツカレーが若い女性によってが運ばれてきた。案の定、セットは美女用だった。美女は2人前の食事代を、運んできた若い女性に渡した。
「あ、後で自分で払いますんで」
「いいわよ、このくらい。取り合えず、食べながら考えてよ」
「ありがとうございます」
 色々考える事が多すぎて、カツカレーの味がよくわからない。
「あの、記憶を確認するのは誰なんですか?」
「私と専門家の2名ね。必要なところは、証拠としてデータで作らなきゃいけないから」
「そうですか」
 女性に見られるのは恥ずかしいな。せめておばちゃんならまだ……。世のおばちゃん、ごめんなさい。
「あの、刑事さんのお名前は?」
「警部よ。柏木」
「柏木警部ですか」
「あとでまとめて聞くつもりだったんだけど、あんたの名前は?」
「桜木です」

 

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