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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season20-2

   

 氷室探偵社にもどった御影たちはすでにビルは消灯していた。もう誰もいない。これから祝賀会と思っていたのに、全員を呼びだすことになりそうだった。

 時刻は21時少しまえ。そのときだった。異変に気づいた探偵たちはビルから逃げた。その直後にビルが爆破した。

 消灯していたから誰もいないはずだ。事務員や待機していた探偵らは無事だろう。だが、確証はない。

 火守は恋人の斎藤と連絡がとれずにいたが、まるで暗示していたかのような兆候だ。

 事件を解決した矢先、まさか命を狙われるとは思ってもみなかった。犯人を追い詰めるだけの推理をしただけだが、ここまでの反撃にあうとは氷室ですら想像していなかった。

 しかしこれは氷室探偵事務所があってはならないという警告であると察したのだ。

 

 あとニ、三分で時刻は21時になろうとしている。

 氷室探偵社は消灯している。

 氷室たちが帰社し社用車を地下に止め、氷室、火守、御影、水桐、大地は事務所へとあがっていく。

 大事件を解決したことで祝賀会でも開こうとしていたが異常な静けさが探偵社内には漂っていた。

 誰もいないというだけの空気ではない。その証拠に大地が青ざめ震えている。

 たびたび小柴とメールをしていた。火守も恋人の斎藤とメールをしていた。だが、電話には出なかった。仕事中でも自席のデスクでも構わず火守の電話にはかならず出る。出ないときは五分以内に折り返し斎藤から最優先にかかってくる。恋に生きる斎藤だ。もう30分音信はない。だがメールは来る。そのことに違和感がなかったとはいえない。探偵なら経験と憶測の推理で察知するだろう。

 御影は氷室の背後からついているが、このビル内で妙なにおいがしているのを嗅覚で感じとっていた。

「ツンとするにおいだ…、なんだ、小柴さんが煮物でも焦がしたのか…」だが、料理で焦がしたようなにおいではない。

「御影くんも気づいたか、この異様な空気とただよう異質なにおい…」氷室がおもむろにいった。

 そして、階段を上がる足が止まった。

 気づいたのだ。

「逃げろ!」氷室は突如叫んだ。階段を降りるように命じた。

 氷室探偵事務所の三階で爆発。粉砕した火の粉が散った。砕けたガラス破片が飛び散った。

 負傷することなく、一階の外へと出た御影たちは、見覚えのある電話機、椅子、ファイル、その他の備品類が飛び散っているのを見て愕然としていた。

 探偵社の三階は、氷室や御影たちのデスクがある。二階は事務員。依頼を受ける顧客の窓口。四階は普通の2LDKの部屋がふた部屋あり、資料庫として使っている部屋がある。

「爆弾か…」火守は吐息を吐くように言葉がもれた。

 その場にいる探偵たちは、視線が氷室に動いた。

「だれかはわからないが、狙いは氷室名探偵だということだ」御影は奥歯を噛みしめながら悔しそうに手で顔を覆った。

「おい、だれも残ってないんだよな…」火守は脳裏に斎藤の顔が浮かんだ。

「小柴さんからメールを受け取ったのはあなたでしょ…」水桐はいった。

 小柴を含め事務員や、ほかの探偵たちはどうなっているのか。連絡が取れない。もどかしくてしかたがない。

「くそー!」火守が叫んだ。「綾香はどこだぁー!」

 理性を失ったものから離脱していく。それがこの世界の非情だ。

 

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