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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

生かすも殺すも匙加減②

   

道雄と朋子は、新しいマンションに引っ越してきて1ヶ月が過ぎようとしていた。
朋子は引っ越しの疲れからか、その日は会社を休むことにした。
ゴミの収集日である事に気付いた朋子は、仕方なくゴミ集積所までゴミを持って行くと、そこで竹山夫人からお茶に誘われる。
そこで初めて、竹山夫人に「妊娠しているんじゃないの?」と問われて、月のものが無い事に気付く朋子であった。
とにかく病院へ行くことを勧められると同時に、過去、朋子達が住む305号室に住んでいた2組の奥さんが、流産やノイローゼに悩まされ環境を変える為に引っ越ししたことを聞かされる。

 

道雄と朋子がこのマンションに引っ越してきて、1ヶ月が過ぎようとしていた。
「朋子!そろそろ起きないと遅刻するぞ!」
と道雄が朋子を起こしたが
「ごめん。なんだか凄くだるくて…。」
と朋子はベッドの中から答えた。
「引っ越しの疲れが出たのかな?」
と道雄も心配になって
「今日は1日休んだ方がいいんじゃないか?もし酷い時は病院へ行って来いよ。会社には自分で連絡するか?」
「うん。自分で連絡する。たぶん風邪かな?心配かけてごめんね。」
「大丈夫だよ。じゃあ俺行ってくるな!」
「行ってらっしゃい!」
朋子はベッドの中から手を振った。
どこが、どう調子悪いのか説明が付かないのだが、明らかに身体が言う事を聴いてくれないのだ。
朋子はいつもの朝なら、どんな時も食欲はあるのだが、今朝は道雄が作ってくれた朝食の目玉焼きも食べる気が起きず、ベッドの中でゴロゴロしていた。

道雄はマンションを出て、駅へ向かう住宅街の道を歩いていた。
すると後ろから走ってくる靴音と共に道雄を呼び止める声がした。
「谷中さん、おはようございます。」
「あっ、萩野さん。おはようございます。」
「今日は朋子さんはどうしたんですか?」
「なんか調子崩したみたいで、多分風邪だと思うんですけどね。」
「5月病って事もありますよ。」
「朋子が?!あのお笑いの固まりみたいのが5月病ってことはあり得ませんね。」
そう笑いながら道雄が言い終わる頃、道雄はふと気づいた。
「そう言えば萩野さんって、毎日弁当ですよね。華世子さん面倒くさがらないんですか?」
と道雄は、圭一の持つ弁当袋を見つめながら尋ねた。
「ああ、毎日だよ。なんか華世子と結婚してからは段々外食が苦手になってきちゃって、味が薄いって言うか、しないって言うか…味がイマイチでさ。」
「この前の料理もそうでしたけど、華世子さんはよっぽど料理が上手いんすね。羨ましいっすよ。」
「そんな事無いよ。」
と、道雄に言われて照れる圭一であった。

 

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