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ラブストーリー

残念女子は、それでも恋を諦めない6

   2017年6月23日  

恋愛に対して奥手・苦手な「残念女子」こと、小笠原 結愛。そんな彼女が、急きょイケメンの双子と同棲することになった!?
三か月間の期間限定とは言っても、同棲が学校にばれたら即退学!
ヒミツの同棲を、結愛は何とか乗り切ることが出来るのか?

 

 覗き事件があった翌日。
 カナタ君が用意してくれた豪華で美味しい朝食をしっかり食べた後、私は精いっぱい警戒しながら玄関から外へ出る。玄関を出て辺りを見回して。忍び足で門まで行き、再び辺りを見回す。そうしてようやく門から敷地外へ出ようとしていると、

「……敷地内でそんな状態でどうすんの?」
 くっくっ――と必死で笑いをこらえながら、そんな私を誰かが見ている。振り返ると、カナタ君だった。

 カナタ君とヒナタ君は見た目もそっくりだし、黙っていると区別するのは難しいんだけれど、よく見ると、カナタ君には左目の下に小さくて薄いほくろがある。今私を見ている――というか、笑っている人にはほくろが見えた。だからこれはカナタ君。――て、それはいいんだけれど、

「……そんなに笑わなくても」
 こっちとしては、湧き上がる恐怖心を必死で抑えながら必死で自己防衛をしているんだけど。私が玄関の彼の元へ戻りながら少しむっとした表情をすると、

「いや、敷地外でならちょっとは理解できるけど、敷地内でそれだと。外、歩けないんじゃ……くっ……」
 カナタ君はそう言って必死で笑いをこらえているようだったけれど、ついに我慢しきれなくなったのか、声を上げて笑い出した。

「だ、だからそんなに笑わなくても!」

 彼は笑い上戸なのか。確かうちに来た日も、私とヒナタ君のやり取りを聞いて、機嫌が悪いながらも笑いをこらえていたっけ。いや、それにしても笑い過ぎだから。私が更にむっとしていると、

「強いんだから、そんなに警戒しなくても大丈夫じゃない?」
 カナタ君は、更に私の怒りに火をつけるようなことを言う。

「つ、強かったのは中学の時までよ!」
「そうかな」
「そうよ! それに、どんなに強くても、私だって……!」
 女子なんだから、と続けようとしたけれど、何故か躊躇して「残念女子だけど」とぼそぼそと呟く。
 カナタ君はそんな私をしばらく笑っていたけれど、やがて言った。
「そりゃそうだった」
「え?」
「どんなに強くても、残念でも女子。でも流石に警戒しすぎ」
「そ、そうだけど……」
「そんなに心配なら、学校の行きかえり、送り迎えしてあげようか? 目立つのが嫌なら、近くまでとか。それなら安心だろ?」
 そう私に語るカナタ君の顔は先ほどまでの笑い顔ではなく、もっと優しい顔をしていた。
「っ……」
 イケメンにそんな優しく、しかもありがたいことを言われるなんて! 
 小笠原 結愛、十七歳。これまでの恋愛、というか恋愛になりかけた経験の結末が悲惨すぎて、この初めての状況にどう対応していいのかが分からない。
 はい、お願いします! ――って言った方がいいのか。あ、でも待って。カナタ君て確か――思わず即答しようとした私だったけれど、ふとあることを思いだした。

 そうだ、確かカナタ君は完璧女子の真理子ちゃんの事が好きだったんじゃ――。
 それなのに、私と登下校を共にしていたら誤解されてややこしくなってしまうんじゃ?
 それに、もし真理子ちゃんがカタナ君の事を好きだったら、きっといい気はしないはず。

「……じゃあ、もしもの時はヒナタ君にお願いする」
 私はぼそぼそとそう呟くと、気を取り直して学校へと向かおうとした。けれど――

「……何で、ヒナタ?」
「え?」
「もしかして、ヒナタに惚れた?」
「はい?」
 そんな私は何故かカナタ君に手首を掴まれて、その場に引き戻された。
 しかも彼、何か表情が怖い。
 え? え? 私今、変なこと言った? しかも私がヒナタ君のことを好きってことに、何でなるの?

「ち、違うよ! そんなわけないじゃない!」
「……」
「そうじゃなくて、だってカナタ君には……!」
「俺には?」
「その……」
 真理子ちゃんが――少し言うのは憚られたけれど、私は正直に言った。すると、
「真理子は、中学の同級生。それに、普段の俺達のうちの近所に住んでいるから、昔から交流があるだけ」
「でも、昨日わざわざうちの高校に迎えに来ていたでしょ? 二人で楽しそうに帰っていったから……」
「楽しそうに見えた?」
「見えた」
「……。昨日は別件であそこにいたんだけど、たまたま真理子に見つかって、強引にあいつの暇つぶしに付き合わされただけ」
 カナタ君はそう言って、私の手首をようやく離す。

 

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