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tripper!

   

いきなり現れた、不躾な男。
紗菜依にとって、洸はその程度の存在だった。・・・・その、筈なのに。

その指が紡ぐのは、・・・・光る、弾む、ラフマニノフ。

どうして、そんな音が紡げるのか。
少女は少年に、興味を持った。

※作者のクラシック知識は一般程度なので、おかしい点等あるかと思います。ご了承の上お読みください。

 

「お前なぁ、いっくら物足りないからってソレはないだろ」
 そう言って、洸は紗菜依を追いやり自らピアノの前に座った。
 その指が紡ぐのは、・・・・光る、弾む、ラフマニノフ。
 なんて、力強い。思わず紗菜依は聞き惚れた。
「・・・・どっちかってーと、こっちだろ?モーツアルトのソナタであれは美意識的に許せない」
 その言葉にはっと我を取り戻す。弾き終えたことにも気付かないなんてどうかしている。
「詳しいんだね、本庄君。声楽科だよね?」
「ピアノはガキの頃やってた。結構大きな大会も出たぜ?」
 そう言って再び鍵盤を叩き始める。力強い旋律。
 心臓に、直接杭を打ち込まれたような衝撃だった。
「・・・・これ、何の曲?」
「あ?俺のバンドの。結構有名なんだけどな、自惚れでなしに。知らない?」
 知らない、と答えてから、今朝の優喜の言葉を思い出す。
「えーと、バンドやってるんだよね?有名だって聞いたけど」
「うん。超有名。でも今ちょっとアイデンティティの危機が・・・・」
 心臓の辺りを押えて項垂れる洸に、紗菜依は思わず噴き出した。
「ご、ごめん・・・・あんまり興味なくって。そんなんじゃ駄目だって怒られたんだけど」
 笑いながら、そう言えば声を出して笑うのも久しぶりだなと思う。優喜と居るのは楽しいが、こんな風に声を上げて笑ったことはないような気がする。

 

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