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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

怪盗プラチナ仮面 2

   

 この世界にあって「牢獄」とは、いったいどこから始まるのか?

 当局者が接触してきた時か? 良からぬ企みを心に抱いた時か?

 それとも泣きわめきながら素裸で世界に生まれ堕ちた時か?

 

 
 刑事部長と捜査三課長、そして特殊盗犯担当警部の三人は桜田門の本庁で行われる捜査会議に向かうべく、公用車の人となった。助手席には松崎警部、後部座席に上司二人が収まり、車は一路、霞が関へと向かう。曇り空からは雨が落ちてきていた。

 夜の闇には、首都の高層ビル群の濃い影が巨大に浮かび上がり、航空障害灯を赤く明滅させている。その様子を眺める松崎警部の心中は穏やかではなかった。賊は今、いかなる心境で逃走しているのだろうか?

 サファイアが偽物であることを知れば、プライドを傷つけられたと怒り狂って引き返してくるだろうか? まさか。いくら恐れ知らずのプラチナ仮面でも、そこまでの無茶はすまい。奴と警察との間がいったん仕切り直しになるとして、我々はどう準備をすればよいのか。あえて、攻めて出ることはできないのか。

「松崎君」
「はい!」

 助手席の警部は、部長の声に弾かれたように振り向いた。窮屈なシートベルトが胸に食い込んで痛かったが耐えた。

「名探偵との連絡はついた?」
「は、ただいま」

 多分に苛立ちが交じった部長の口ぶりによほど慌てたのか、警部は松平大三郎君が渡した名刺を胸ポケットから引っ張り出してしまった。名刺には少年の携帯電話番号も記載されていたが、さすがに中学生相手に深夜連絡を取るのは控えるだけの分別は残っていた。

 蛇足ながら付け加えると、午後11時15分現在の少年は自室ベッドに仰臥し、みめうるわしき美園巡査の生々しい面影を思い浮かべながら、青い情熱を全開にしている真っ最中であった! そんな状況下にある中学3年生を急襲するのは、いかにベテラン刑事とはいえ酷に過ぎるのではなかろうか?
 であるからして、警部は少年の名刺を直ちに胸ポケットに戻し、自身のガラケーから真行寺内蔵介の番号(登録済み)を呼び出したのである。

 やんぬるかな。探偵の携帯は留守電になっていた。額に脂汗が湧く気持ち悪さを感じつつ、警部はガラケーを畳んで部長に告げざるを得なかった。

「15分後にもう一度かけてみます……」
 
 

*   *   *

 
 

 

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