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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season20-11

   

 六本木ヒルズのひらけた場所で何かを待つ雲田たち。御影たちは罠かなにかわからないにしてもこのままでは埒があかない。

 ついに懐かしき仲間と対峙した御影。その真意を確かめる。と思いきや背後から迫ってきていた雲田の仲間らしき屈強な男が取り囲んでいた。

 逃げ場を失った御影たちはここで倒されるか、それとも捕縛されるかと覚悟を決めた。

 ボディーガードの素性は小宮山議員のところの猛者だとわかったが、まったく目的がわからない。戦う気はないようだが、これ以上付き纏われないためか、田場は目的の真意を御影たちに話した。

 それが探偵ごときがいつまでも追走すべきことではないと示唆させていた。

 

 黒塗りの乗用車を追う白い軽自動車。中には御影と火守が乗っている。社用車を失い、レンタカーを借りた。おそらくそんな車に乗っていることは予測がつくかもしれない。相手はあの名探偵が設立した探偵三人だ。探偵社のビルが爆破によって社用車が使えず、レンタカーで追跡してくると予測しているかもしれない。

 そうなるとバックミラー越しで黄色いナンバープレートで追跡されているのに気づくかもしれない。

「火守さん、車幅と一台車を挟んで追跡しましょう。雲田さんたちの推理をさせる頭脳回路を稼働させちゃダメです」

「そんなことはわかっている。車がすくねぇーんだ、車幅は放すが、このままだと信号待ちのときに隣か真後ろにつけてしまうな。こっちは帽子とコートで体型ごまかしをしたところで、車内にいるんだ、顔だけで認識されちまう」運転しながら火守は目つきが険しくなった。

「近づいてしまうと思ったら路肩でいったん停まりましょう。気取られないように」

 火守は、ああ、と答えたきり言葉も止めた。まるで会話を聞かれているかもしれないと危惧してしまうほどに。それだけの相手だという懸念が二人を襲っていた。

「あいつらはどこへ」御影はぼそっといった。

「詮索は無用だ。どこへ行こうと車を停めて降りたときこそ、対峙する好機だ」

 車の進行方向からして六本木方面へ向かっている。しばらくして六本木ヒルズで停止した。

「こんなところに何の用だ、あいつら」火守がそびえたつヒルズビルにおののいていた。

「まいりましたね、ここじゃ、あいつらへ報復することはできない」

「もとより会話だってむずかしいだろ」

 三人は車から降りた。ヒルズへ向かって歩いているが、ビルの中に入るわけでもない。呆然としている。何かを待っているのか、火守と御影はどうするのが正解なのか、二人もレンタカーを降りて尾行をしていたが迷っていた。

 罠か、それともガチンコで決着をつけようと待っているのか、それらしい反応が見えれば出るか退くか決まるというのに。

 木陰に隠れ、遠目で二人は雲田たちを見張っていた。

 絶好の好機。そう見えてしまう。罠であろうと、襲撃した方が意表をついて驚き、御影たちに軍配があるかもしれない。三対二、人数の分が悪いが先手必勝で勝利を得る。

「一か八か」御影はさえずるように声としてもれていた。

「あぁ、そうするか」火守も尻込みするタイプではない。

 二人は立ち上がり威風堂々と胸を張り、かつての仲間へのもとへ赴く。

 地面は砂利が少ない。しかし雲田たちは聞きなれた足音ですぐに気づいた。

「御影!」川上がいち早く反応した。

 雲田と森谷はゆっくりと振り向いた。

「やぁ、お二人ともこんなところで会うとは奇遇なのだよ」森谷の口調は今では小ばかにされている気分だ。

 雲田は相変わらず寡黙だった。

「裏切り御三家さん、懐かしゅうございますね」御影は負けじと他人行儀な態度で返した。「森谷さん、いや、森谷、あんたの化けの皮はこのときのためだったようだ」

 森谷はほくそ笑んだ。

「それと雲田さんよ、事務員の女性たちが言っていたけど、そうとうおしゃべりがすぎるらしいな。仏頂面に無口がトレードマークのあんたが…、いやあんたらの存在そのものが隠匿だったな」

「そうだな火守くん、すべては氷室探偵のせいだ。彼が刑事を辞めてしまい、まったくもって遺憾だよ。それなのに秘密を覗き見るようなことを設立するものだから、よけいに警察への不信感は否めなかった。自業自得なんだよ。彼こそがおしゃべりがすぎる色男ときている。人気はきみらもしっているだろ、だから管理が必要だと上が決めなさった」

「ほんとうによくしゃべりやがる。これまでの付き合いでこんな一方的な話しは聞いたこともない」火守は雲田の長い演説にうんざりしていた。

「いや、待った、火守さん、それもあるが、そうじゃない…」御影は目を見開いていた。

「なに?」

 雲田はもちろんだが、森谷、川上も不敵な笑みをこぼしていた。

 御影はすぐに悟った。プライベート・アイを発動して、眼前の三人の目を覗いた。画策が潜むなにかがその瞳に放たれていた。

「まいったな」火守の直感が弾けた。

「囲まれた」御影は眼前の三人の目から自分たちの背後に敵の援護が迫ってきているのを感じた。

「雲田の長ったらしい演説は俺たちの意識を前方にむけるための陽動」火守はいった。

「そして俺たちを逃がさないための陣形をとられた」御影のプライベート・アイは背後に五人の男がいることがわかった。

 挟まれた。逃げ場はない。倒すか、倒されるかだ。

「おいおい、狩谷みたいな屈強な男たちばかりじゃねぇーかよ」火守は眼前の裏切者三人だったらまだしも、いかにも格闘家のような五人はその道のプロフェッショナルだと一見してわかる。

「まずい、これはやばいな」御影もさすがに臆している。

「こんなひらけた場所で乱闘か、ニュースになっちまうぞ」火守も気負っていた。

 

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