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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

生かすも殺すも匙加減⑥~完結編~

   2017年7月26日  

「猫の死体」「生ごみ」「台所洗剤」この一連の事件の犯人を、朋子は「もしかしたら隣人の華世子ではないか」と思い始める。
その判断に「間違いない」と確信する、ある言葉を華世子から聞いた。
ただ、なぜ妊娠した女性ばかりを狙うのか、その理由が知りたかった。

 

安産祈願を終えて、道雄と朋子は久しぶりの外出と言う事もあり、カフェでのランチやショッピングを楽しむ事にした。

楽しい一時を過ごしてきた二人であったが、夕方になり、やはり朝の一件を含む一連の出来事が、頭をよぎった。

重い空気の中、朋子が口を開いた。
「ねぇ、もしかして華世子さん、子供が欲しくないなんじゃなくて、出来ないんじゃないかしら?」
「なる程。それなら妊娠した朋子や、他の奥さん達に起こった出来事も理解できるかもしれないな。」
と、道雄も納得した。
「ただ、繋がらないのが、圭一さんに作っている、『塩分多めの食事』よね?」
「なんだ?その『塩分多めの食事』って??」
「この前華世子さんが言ってたの。圭一さんが『味がしない』って言うから、圭一さんの食事やお弁当に塩振ってるって…」
と、朋子は先日の華世子との会話の一部始終を道雄に話して聞かせた。
「それって有る意味怖くないか??」
「えっ??どういうこと??」
朋子は目をパチクリさせて聞いた。
「だって、俺もそうだけど、何年も奥さんの作ったもの食ってると、味覚もそれにあわせて、変わってくるもんだぜ。俺なんか朋子が健康志向のおかげで、薄味に慣れちゃったから、実家の母ちゃんの食事は濃すぎて、美味いと思わないもんな。」
「それは良いことじゃない?奥さんとしては、自分の料理の方が美味しいって言われたら嬉しいものよ。それのどこが怖いの??」
「だ・か・ら…。圭一さんが、華世子さんの作る塩分多めの食事に段々慣れて行ったとしたら?」
朋子ははっとして
「そうよね。もし塩分になれちゃったら、そのうち、脳溢血とか高血圧とか…下手すれば死んじゃうかもってこと??」
「そう言うこと。」
それと同時に朋子は、華世子が話していた姑の話を思い出した。
「そう言えば、圭一さんのお母さんって少し痴呆入ってて、コロッケとかにソースビチャビチャかけて食べてたって…。元々高血圧だったから、すぐに脳溢血になって死んじゃったって…。」

 

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