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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第24話「それが運命でも」

   

目を閉じた民にエリザは告げる。

「――――待ってる。ずっと……待ってるわ」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週更新】

新章 第24話「それが運命でも」

 

 
 ルイスは何があっても自分の民を傷つけるような真似はしない。この男がどんなに懇願したとしても、決して首を縦には振らない。そういう人だ。

「あなたは、プランジットの皆の為にも生きるべきよ。生きなくてはいけないの。だから、諦めないで下さい。私が助けます。絶対に死んじゃだめよ……!」

 彼はようやく気づけたのだ。自分自身が辛かったことに――――。長い時間をかけて、己の心の傷と向き合うことが出来た彼をここで死なせてしまっては、私は皆に顔向け出来ない。堂々と胸を張って会うことなんて、出来はしない。
 顔を歪めた私を見てから、男は空へと視線を移した。

「――――ずっと、こんな日を待っていたような気がする」
「え……?」
「……ずっと、昔から」

 男はそう言って目を閉じた。私は唇を固く閉じて、先程の彼のように空を見上げた。
 きっと、彼の言う通りだ。私もこんな日が来るのをずっと昔から待っていたような気がする。

「来てくれてありがとう。会えて嬉しかったわ。生きていてくれて……本当にありがとう」

 プランジットの民がアグランドへ来ることは、遥か昔から決められていたことなのだろう。それがどれほど辛くても、耐え難い悲しみと共に定められていたことなのだとしても、私は何度でも救いたいと願う。助けると誓う。叶わない願いでも、叶えてみせる。

「初めてお見かけした時の王子は、今のあなたと同じくらいの年頃でした。そして今、姫様は、あの時の王子と同じ目をしていらっしゃいます」
「…………」
「とても懐かしく思えました」

 私はルイスとは違うけれど、血が繋がっている以上重なる部分があるはずだ。彼が天使の末裔で、その力を行使出来ると言うのなら、私だって同じだ。今思えば、思い当たる点は幾つもあった。
 船上でエイビスと戦った時、危機に陥ったシアンを見て、私は自分の中の『何か』が叫ぶのを感じた。そして、エイビス等兵士は動きを止めた。
 それが結局何だったのかはわからない。先程の風が私の思いに応えてくれたものなのかも不明だ。だが、私は初めて誰かを守れた。その事実だけは変わらずそこに在り続けるだろう。

エリザ!!
「! 師匠っ」
「長!」

 私の名前を叫びながら、師匠が駆けつけた。キールがほっと息を吐く。
 スウェナや島の大人達の姿もある。ピアズとマイルは遠くの方から心配そうにこちらの様子を窺っていた。

「おいお前、子供達から聞いて慌てて来てみれば……こりゃ一体――――」
「師匠、どうかお願いです」
 

 

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