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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

怪盗プラチナ仮面 5

   

 警視庁の捜査員と名探偵は、巨大な和式便器の中へ乗り込もうとしていた。

 汚物は既に流されたのか? それとも引っ掛かったまま彼らが近づくのを待ち構えているのか?

 

 

××県西方沖洋上

 
 武装した敵戦力に対抗する目的でないならば、それは「兵器開発」ではなく、「基礎研究」とみなされる!

 この地球上で最強の国家の、「最高レベル」がそのように解釈しているのだから、それはすなわち国際条約の条文解釈となり得るのだ! 何か問題でもあるというのか? それとも「牽強付会」だの「物は言いよう」だのと、行き遅れの小姑じみた口吻を弄してことさら自分をみじめにしたいのか?
 さだめし諸君が、長くもあり短くもある人生で判断に迷う局面に遭遇した際、この事例が一つの指標になるのではあるまいか?(いや、どんな判断を下すかはもちろん自己責任だ) とにかく、生物学的な多様性を追求するという、人類の発展に有意義な「基礎研究」を邪魔する者は、「人類共通の敵」と呼んで差し支えあるまい!

 であるからして、これほどにも有意義な基礎研究を側面から支援する捜査だって立派に成立し得る! ヘリと高速艇を乗り継いで悪名高き盗賊のアジトへ急行することに、何をためらう必要があろうか!

 ましてや、増子刑事部長ら捜査幹部は日本警察開闢以来の崖っぷちに立たされているのだ! 万が一にも、米海軍特殊部隊に先んじられでもしてみるがいい。彼らがプラチナ仮面を即座に射殺してしまおうが、丁重なおもてなしで身柄確保しようが、そんなのは瑣末な問題にすぎない。いずれにしても外国軍隊による通告抜きでの作戦行動を、領土内で許した前例を作ってしまうのである! もしそうなったら、ボロ雑巾同然に扱われたこの国の主権をどう繕ったらよいのか? 事実上「の国」の属国とはいえ、国境線は確かに存在していたはずではないのか!?

 かように、増子警視監も寅嶋警視正もともに国家公務員である以上、事態の深刻さは十分に理解していた。両人とも、みずから臨場したいのはやまやまだった。しかし刑事部長、捜査三課長という立場上、軽々な行動が組織全体を動揺させるリスクを考えれば、在京での指揮に甘んじざるを得ない。ゆえに松崎警部ら捜査班がヘリで××県地方合同庁舎のヘリポートに着くまでの間も、同県警が用意した高速艇で於来之木島へ急行する間も、生きた心地がしていなかったのである。

 無論、警視庁の目は××県沖を飛び交う2機のヘリから絶えず光ってはいた。
 

 

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