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家元 第七部 危機(後編)

   2017年8月10日  

昭和48年9月になると、苑田流の騒動も収まってきたが、生徒数の半減、支援者も離れていく等、大きな打撃となり、志乃は心身ともに疲れていた。

こうした騒動の収拾に追われる間に、夫の圭介に病魔が忍び寄っていた。

「少しお腹が張る」、そう言っていた圭介だっが、病院での精密検査の結果、癌が見つかった。

幸い、佳代子の家族も集まり、その励ましのお蔭で、夫は元気づけられ、手術も無事成功した。

「お父さんのために出来ることは全てやる」

娘の佳代子はこう言って毎日見舞いに来てくれたいた。

様々なことが起きた昭和48年も何とか乗り切れそうだと、皆がほっとしていた頃、気がつかぬところで、もう一つのトラブルが起こりつつあった。

それは・・・

 

 
騒動の影響
 

今回の騒動は苑田流にとって大きな打撃となった。

なんといっても最大の生徒数を抱えていた高橋真由美の離脱が大きく、生徒数は半分近くに減ってしまった。

彼女は形式的には「破門」だが、実質、分派独立のため、高橋教室の生徒を全員引き連れ、「舞踊集団〝創〟」を立ち上げていた。

騒動の発端となったインタビュー記事で述べていた通り、日本舞踊に加え、バレエ教室も併設する、新しいチャレンジを開始したのだ。

一方、引退した鏡佐知代の教室は、それまで師範代代理を務めていた大木早苗が引き継ぎ、生徒はそのまま維持することができたが、破門された田中康代の教室は引き継ぐ者が育っておらず、また、事の経緯から、引き受ける者も現れず、閉鎖せざるを得なかった。この結果、田中教室の生徒は殆どが他の流派に移っていった。

同じく、田中康代の一派と目された古参の師範代たちは苑田流では居場所がなくなり、引退を余儀なくされた。生徒は志乃の本部教室、鏡佐知代を引き継いだ大木早苗の教室で引き受けたが、交通の便などもあり、他の流派に移った生徒も少なくなかった。

財政的も影響は大きかった。

志乃は苑田流家元として、支援者を一人一人訪ね、今回の騒動について謝罪するとともに、引き続き支援をお願いしたが、殆どの者から「よう分った。引き続き応援する」と励まされたものの、「あんたがしっかりと見ていないからだ」とお叱りも受けていた。

当然、支援者には高橋真由美を支持する者も、破門された田中康代を支持する者もおり、これらの者は苑田流を離れていった。

 

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