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ラブストーリー

犬が取り持つ恋もある 1

   

人生初の告白をした、高校三年の佐和子。
相手は部活のOBで、約二年半の想いを、卒業も近いからと覚悟を決めて告白したが、『妹みたいに思ってる』という言葉でフラれた。
だが、ある日に見かけてしまったのは、先輩の車に乗り込む同じ三年で、部長の由梨菜。
所詮、可愛い子を選んだのかと気落ちしていた時、一匹の犬と出会った・・・。

 

 ――年下だからといって、告白を断る理由の一つに、『妹みたいに思ってたから』と言う男は、公園のブランコを囲っているパイプに乗って、バランス取って歩いて足を滑らせて股間を打ち付けて下さい・・・。

「佐和子、言いたい事は分かったけど・・・、泣きたいなら泣けば?」

 呆れた顔して、友人の順子が頬杖ついた。
 昼休み、昼食を取る為に向かった音楽室。高校三年間、アタシも順子も部活が合唱部という事もあり、昼休みはいつも部室でもあるココだ。
 昼食を取りながら、アタシは昨夜思い切って、人生初の告白をした事を順子に話した。そして、その結果も。
 それを笑い話にする為に、相手に対する文句を冗談で言ってみた。

「まぁ、傷つけずに断る手段としては、常套(じょうとう)よね」
「そうかな・・・。一番キツイと思うよ、アタシは」

 思わず本音がポロリと出て、やる気のない声で言いながら、正直、一番卑怯だなとも思っていた。
 昨夜、電話を掛けて、約二年半片想いした先輩に「好きです」と伝えた。
 この高校に入ってから出合った部活のOBの人。
 いつも構ってくれて、何かというとちょっかいかけてくる先輩が直ぐに気になって、気が付くと先輩しか見えてなかった。
 たまにしか顔を出さないその人を想って、二年半。アタシももう直ぐ卒業になる。
 だから、思い切って、想いを伝えてみた。
 だけど、妹みたいに・・・と言われて、フラれた。

「また好きな人できるって。これが最後の恋じゃないでしょ?」
「・・・ま、そりゃそーだ」

 順子に頭を撫でられて、お子様扱いされる。というか、普段はこんな事される立場ではないだけに、変に情けなくなった。
 普段のアタシは、昔からの姐御肌。頼られる事はあっても、頼る事がなかった。
 だけども、恋愛ごとに関しては、ひどく奥手で好きになったら一途という、意外と古風な女・・・だと、順子は言う。
 確かに好きになると、長く片想いする事が多い。その人しか考えられないのだ。

 何度も溜息吐きながら、それでも弁当の中はちゃんと空になっていくのを見て、食欲だけは健在だと、自分を心の中で淋しく笑った。

 

-ラブストーリー


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