幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

ロボット育児日記16

   2017年8月10日  

 心配で桜木の元を訪れた圭介が、ウサ子の秘密と桜木の気持ちを読み取るのだが全てはまだまだ謎のまま…。

 SFラブコメディ!!

 

 その日の夜、圭介がホテルを訪ねてきた。彼にしては少し遅めだったので、本当に忙しかったんだろうと思う。
 丁度夕飯を食べ終わって、ホテルに帰宅したところだった。
 ホテルの近くに小さなファミレスがあったのは、ありがたかった。子供向けのプレートもあったし、人間向けの料理もあった。料理の種類で何となくわかるのだけど、この辺りは人間が割と多い方なのかもしれない。自分以外の人間はあんまり見たことがないし、いたとしても気付いてないだけかもしれないけど、近くにいるんだろうなと思うだけでちょっとだけ嬉しく思う。
「霞ちゃん、ごめんね。急ぎすぎて手ぶらで来ちゃったよ」
「気にすんなよ。入院中世話になってたしさ」
「もう、積もる話多すぎなんだけどさ。マジで」
「色々ありすぎて、通り越して、なんかもう落ち着き始めたと思ったらまた事件に逢って。もう俺からは話すことがないわ」
 圭介が俺の方を鷲掴んで、前後に揺すった。
「めんどくさいだけだよね? てか、みほとけみたいな顔すんのやめてくれる? 本当にあの世にいってそうだから」
 圭介の目は笑ってなかった。珍しく。
「圭介ってさ、お母さんみたいだよね」
「もう、お母さんでいいよ」
「なんで、そんなに俺に親身なの? 友達だってのはわかるけど」
「だって霞ちゃん儚いし。オレ、霞ちゃんといるの居心地いいんだよね」
「そっか」
「というわけで」
 圭介は、鞄からビール缶を2つ取り出した。
「完全な手ぶらって訳でもないんだけどさ、さっきコンビニで買ってきたのよ。ウサ子ちゃんは、もういいでしょ。あと飲み過ぎはまずいでしょうから、これで終わり」
 俺は、圭介の差し出すビール缶を1つ受け取った。まだキンキンに冷えている。
 食事の帰り、ウサ子にジュースを買ってきていた。
 圭介をホテル部屋の鏡面台の椅子に座らせると、俺とウサ子はベッドに腰掛けた。昼間ベビー用品売場で買ってきた子供用のコップにリンゴジュースを入れるとウサ子に渡した。
 最初は大人しく座っていたウサ子だったが、座っている体勢が安定しないのか、俺の膝の上によじ登った。
 ウサ子が落ち着いたところを見て、口火を切ったのは圭介の方だった。
「もうすっかりパパじゃないの。病院の時は面会時間も短かったし、霞ちゃんげっそりしちゃっててさ。オレも詳しく話が聞けなかった訳だけど、どういう事なのか説明してよ。最初からね」
 俺は、圭介にこれまでの経緯を説明した。
 強盗犯人に間違えられたこと、証明するために記憶を見られたこと、その副作用で入院していたこと。その後で、ウサ子のことも話した。何故パパになったのか。圭介は、冷静に呆れていた。
「あんねぇ、どんだけお人好しなわけ? 子連れってだけで、彼女だって今まで以上にできなくなるよ」
「もう、そんなこといいよ。どうせ出来るかどうかもわかんないしさ」
 説明後の圭介の指摘がそれだったので、それかよ! と思わず突っ込んでからのこの返しであるのはご理解頂きたい。
「まあ、それはさておき。まあ、霞ちゃんは主夫やれる立場でもあるわけだし、シンパパも出来ないことはないわけだ。でも、子供にはママが必要でしょ。ママはどうするの?」
「聞くなよ」
「そんなことだと思った。考えてないでしょ」
「考えたよ。でも、ママはしょうがないじゃん」
 モテないし、彼女いないし。
 圭介の態度に、俺は納得出来なかった。ので、ドストレートに聞いてみる事にした。
「お前さ。ごちゃごちゃうるさいけど、何か隠してるだろ?」
 少しの間を置いて、圭介が言いにくそうに答えた。
「霞ちゃんは、その子のこと何処まで知ってるの? これから、この子に対してどうしろって言われてる?」
「は?」
「例えば、毎日病院に来いとか、病院の人間が訪問にくるとかさ」
「何が言いたいんだ?」
「その子、ロボットなんだよね?」
「そうだって聞いてるけど」
「オレも初めてなんだけど……半分ロボットじゃないんじゃない?」
「は?」
「だから、半分人間なんじゃないのかってこと」
 と、そこまで言って、圭介は違うなーとぶつぶつ言っていた。俺には彼が何を言いたいのかさっぱりわからない。

 

-SF・ファンタジー・ホラー
-, ,


コメントを残す

おすすめ作品

怪盗プラチナ仮面 7

   2017/08/22

ロボット育児日記19

   2017/08/22

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第26話「消えない思い出と消せない日々」

   2017/08/21

見習い探偵と呼ばないで! Season20-21

   2017/08/21

美しき人

   2017/08/18