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ロボット育児日記17

   2017年8月15日  

「そうですか。もしかしたら、人違いでこの部屋に入ったのかもしれませんね」
「あ、俺もそう思います。人違いですよ、きっと」

 SFラブコメディ!!

 

 心拍数。
「恋って言いたいわけ?」
 俺は笑いながら言った。
「わかってるじゃん」
 図星だった。
「って、んなわけあるかよ! 高嶺の花もいいとこだろ。そりゃ憧れはあるけどさ、それだけだし」
「なら、いいけど。傷つくの霞ちゃんだよ。オレも辛いからさ」
 圭介は何故か、どやっと笑った。何故ドヤ顔?
「で、ホテル暮らしになった理由だけど、その様子だと連絡はないんだね」
「そう、空き巣か強盗かなにかも……っていうか空き巣だろうけど。盗むもんなくて逃げたんだろ」
「パス盗むでしょ」
「そんなに価値あるのかな」
 という俺の疑問に、圭介はビールを吹き出した。
「そのパスの為に、日々どんだけ犯罪が起きてると思ってんのさ。全く」
「そうなの?」
「もういいわ。本当、自分の価値わかった方がいいよ。マジで」
 俺は首を傾げることしか出来なかった。
「なんか、ごめん」
「ドンマイ」
 圭介と暫く久しぶりの世間話をしていた。ウサ子はその途中で眠ってしまい、日が変わって暫くしてから圭介も帰っていった。
 怒られただけでなく、余計なお世話も多い奴だけど、肉親でもないのに心配してくれるのはありがたい。そして、ウサ子がいても事件に巻き込まれていても、根本的には変わらない日常に少しだけほっとした。
 翌朝になり、ホテルでウサ子と過ごしていた。昼前になって、警察から連絡があった。
 犯人の手掛かりはなく、近くの監視カメラには犯人らしき人物は映っていなかったという。一度、アパートに来てくれとの事で、昼過ぎに帰った。
 警察の捜査のお陰で、荒らされてヒドい有様だった部屋は更にヒドいことになっていた。散乱する割れた食器の破片や割れた瓶のせいで、捜査員達が土足で踏み荒らしていたのには正直むっとした。が、柏木警部の部下であろう刑事から掃除業者が入ってくれる事を教えて貰った。完全無料ではないらしいが、格安だったのでウサ子もいることだしとお願いした。その兼ね合いもあり、ホテル暮らしが少々延びることになった。俺が事件前と同様独り身だったら、自分で掃除しただろう。三日は掛かったかな。
 部屋の私物チェックをするように言われたが、貯金箱から通帳から印鑑まで、何一つ盗まれずにそのままだった。
「何も盗まれてないですね」
「捜査して思ったんですが、何か探しているような荒らし方だったんですが、何か思い当たる物はありませんか? 殺人でも起きていれば、それでも納得出来る部分はあるんですが、それはないですし」
「ええ、誰か死んでたらそれこそたまりませんよ。ちなみに思い当たる物は、ないですね。自分が思う価値がありそうなものは、全部残されてましたし」
「そうですか。もしかしたら、人違いでこの部屋に入ったのかもしれませんね」
「あ、俺もそう思います。人違いですよ、きっと」
 刑事さんは、人違いの空き巣扱いとして報告していたようだった。
 業者の掃除が完了したら、連絡してくれるとのこと。せっかくなので、あと少しの間ホテルでの旅行気分を味わおうと思う。
 タクシーでホテルに到着すると、部屋に戻らず、ウサ子と少し散歩した。
 昨日は行かなかったホテルの裏側を歩いてみることにした。
 意外な事にアパートが幾つも並んでいた。ファミレスでの人間向けメニューの豊富さを考えれば、このアパートに人間が何人も住んでいるのかもしれない。
 俺が育った家を思い出した。俺の他にも、周辺には人間が住んでいた。人間向けの施設も多かったので、特に不自由のない生活環境ではあった。人間が多ければ人間向け施設が多くなるので、自然とそこに住む人間も多くなるわけで、人間の密集地が出来る訳だ。
 けれど、その中で住んでいるロボットもいるわけだから、全員が人間とは言い切れない。なぜなら、人間と恋に落ちるロボットだっているし、圭介みたいに友達になるロボットだっている。職場が近いという理由だってあるだろうし、理由は様々だ。
 で、その住宅街を抜けた先に、俺の目的の場所が見つかった。

 

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