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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season20-22 END

   

 狩谷の銃口は安賀里総理に狙いが定まっている。表情ひとつ変えない不敵な総理に引き金の指が震えていた。

 氷室たちの罠によって総理大臣室で待ち伏せていた。総理はここにはおらず、奇襲をしかけてくる輩を待つことにした。

 総理が国会議事堂に入った映像もフェイク、各テレビ局に協力して欺いた。

 狩谷の腕がさがり、総理暗殺が失敗したことを認めた。同時にそれは狩谷の思惑も崩れ去る。

 氷室はひとつ疑問視したことを口にした。麻田と小宮山が昨晩のうちに逮捕されたことを、三人の若者は知っていたのではないか。

 狩谷は牢獄にいた、若者は狩谷を筆頭に奇襲をしなければならない。

 若者たちは銃口を突きつけた。総理もいない一般人と刑事にむけている。

 氷室は説得した。希望に満ちた“個人主義法”たるものがいかに無意味であるかを。
 

 そして、それぞれの歩むべき道は…
 
 

「第二十シリーズ【完結】」

 

 おかしい、安賀里総理は身じろぎもせずに佇んでいる。脅えろ、震えろ、それがおまえの最後の顔であってほしいからだ。

 そんな顔でいられたら引き金がひけない。なんだ、この自信に満ちた態度は、総理という日本の頂点に立つ者の気迫とでもいうのか。

 銃口を向けら、顔色ひとつ変えない総理に、狩谷は引き金をひく指先が震えていた。

 暗殺したきたことを誇示するわけではないが、狩谷はあきらかに怯んでいた。躊躇うことなどいまとなってはもはやない。それがこんなにも臆することはなんだというのか。

 しかしほかの若い三名は愕然と現実を目の当たりにして状況を飲み込めずにいた。狩谷が見えていないものが見えていた。

「待って、狩谷さん、俺たちの負けだ」若い男が言った。

「なに?」狩谷はせめぎ合う自身の決断と闘っていた。だが、そのまえにせき止められてしまった。暗殺のなにもしらない若者によって、負けを言い渡されたことに苛立った。「なにをいっている…」

 狩谷は安賀里の顔しか見えていなかった。次の瞬間、死角となっていた部分が広がった。

「なんだと…」

 息を飲む間もなく、事態は急転直下に覆った。

「いらっしゃい、狩谷…」

「探偵の若僧が…」狩谷はそこまで年齢が変わらない御影に言った。

「待ってたよ」氷室がふと顔をだす。

 無言のまま見据える闖入者に、火守、水桐、大地、政木警部と数名の武装した警官が銃をかまえていた。

 安賀里総理だと思っていたそれは、なんてことのない張りぼてだとやっと気づいた。

「ばかか俺は…こんな単純なフェイクに引っかかるとは…」銃の重みに耐えきれなくなったように両腕がさがった狩谷。

「よかった、命と引き換えに銃を乱射されたらどうしようかと思ったが、踏みとどまってくれてありがとう」氷室は狩谷の崩れる姿に感謝を述べた。

「テレビではたしかに、ニュース番組で俺は見た、総理が入っていく姿を…議事堂内のどこかに隠れているのか?」若い男の一人がいった。

「残念」水桐は腕組みしながら言った。「そのリアルタイムのニュースを観たというなら、嘘よそれ…、各テレビ局に根回しして以前の動画を流してもらったの」

 大地は強くうなずいた。二人は犯人たちを誤魔化せるだけの方法を黒川刑事と共に一晩かけて駆けずり回っていた。

「骨のいる仕事だったわ、徹夜は勘弁ね」水桐は首を回していた。

 文句はないが頭を支えるように手を添えていた。

 

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