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ロボット育児日記20

   

 桜木の恋バナにやたら興味を持つ篠山。そして、柏木からの不意の電話。
 桜木のダメ元の恋は一体どうなる!?

 SFラブコメディ!!

 

「見る目がないんですね、桜木さんの周りの女性は」
「お世辞はいいですよ。まあ、女性と出会う機会もないんで」
 篠山さんが笑ったのだけど、その笑いが妙に不気味に思え、一瞬ぞくっと背筋が寒くなった。
 その後いつもと変わらない柔らかな笑みを浮かべていたので、多分俺の勘違いだと思う。
「好意を寄せてる方はいらっしゃるんでしょうか?」
 俺の心臓が痛んだのだが、俺が何か言おうとするのを遮るようにさ篠山さんが声を上げた。
「ああ、もしかして柏木警部とか? 美人ですしねえ」
「は? え? なんでそうなるんですか?」
「ああ、図星ですね」
 何故、柏木警部だと思ったんだろう。女の人に関わる機会がないと言ったから、最近までよく会ってたのが柏木警部だから当てずっぽ?
 いや、それならコンビニの店員さんもよく会ってる訳だし。
 どう返して良いか分からず悩んでいたら、篠山さんが気まずそうに頭を下げた。
「すみません。桜木さんのお話から頻繁に出くる方でしたから……私の冗談でしたのに。もしかして、当てちゃいました?」
 篠山さんは、やっぱり頭がいいんだろう。隠しても無駄かもしれないと観念した。小さな溜め息と共に、俺の頭がうなだれた。
「好きなのかどうかはわかりませんけど、事件に巻き込まれてからずっとお世話になってた人なんで気になるのは気になるんですよ。なんかちゃんと一回お礼したいんですけど、向こうはただ仕事で俺のこと気にかけてくれたのはわかってますし……なんていうか、高嶺の花すぎてそれもしづらいっていうか」
「そうなんですか。では、桜木さんは人間でしょう。柏木警部も人間なのでしょうか?」
「いえ、以前は人間だったようですけど、今はロボットだって聞いてます」
「でしたら、高嶺の花なんて言わなくてもいいじゃないですか。柏木警部から見た桜木さんの方が、私からしたら高嶺の花ですよ」
 それは、言い過ぎだろう。あっちはスーパーモデル並みの超美女だ。
「それは失礼ですよ、柏木警部に」
 俺は篠山さんに、苦笑いを向けた。
「そうでしょうか。ロボットなんて、所詮作られた美しさです。欲しいと思えば誰でも金で買える。けど、人間はそうもいきません。神からのみ与えられる賜物です。桜木さんだって、人間であることを放棄すればスーパーモデルにだってなれるんですから」
 言われてみればそうなあのだけれど。
「少しは勇気出ました?」
 篠山さんが笑う。
「なんか、俺が柏木警部を好きだ、みたいな話になってますけど。本当わかんないんですって。好きなのか、どうかまで」
「すみません、私には恋いこがれているように見えたので」
 女子会ってやつで行われる恋バナってやつも、こういう感じなのだろうか。しかしながら、篠山さんはやたらこの話に絡んでくるな。
「もう、俺の女話はいいですよ。今はウサ子のことだけで、恋とかそんな余裕ないですから」
「そうですか、失礼しました。桜木さん、ウサ子ちゃんのために母親の事も考えてるのかなって思ったので」
「ああ、うちの母は元気ですから大丈夫ですよ」
「ウサ子ちゃんの母のことです」
 篠山さんが少し呆れた声を出した。
「桜木さん、今のままだともったいないですよ。まだ、貴方とそこまで関わりはないですが、私から見た桜木さんはとっても魅力的な男性です。是非幸せになって頂きたいですし、どこかで気持ちを整理してください」
「ありがとうございます。けど、接点がなにもなくて。何か理由にして連絡取りたいにしても、その理由すら見つけらえないんですよ」
 篠山さんが、少し考える風をした。俺の出したコーヒーを飲み干したので、俺はおかわりを進めた。
「ありがとうございます。桜木さんは、柏木警部の連絡先を知らないのですか?」
「はい。いつも署から、事情説明して繋いで貰ってます」
「じゃあ、ウサ子ちゃんの件でって繋いで貰ったらどうですか?」
「それだと、病院のカウンセラーに相談するように言われそうです」
「では、空き巣の件では?」
「担当が途中から変わったみたいなんですよね。事件性が無いからってことで」
「では、もうストレートに柏木警部に用事があるって言ったらどうです? いちいち事情を説明せずに」
「……そう言われると。けど、聞かれたらどうしましょう」
「その時は、自分をダシにしてください。紹介頂いた篠山って人間の件でって」
「じゃあ、最初からそれでいいですか?」
「でも、それだとこれからも毎回理由説明しないと繋がらないじゃないですか。理由説明しなくても繋がるかどうかの確認なんですから」
「で、その後どうしましょう?」

 

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