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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで!【番外編・御影解宗の休日】5 END

   

 御影が提案したトラップに犯人が嵌るか、テレビ局を通じて嘘情報を流した。

 漫画喫茶やカプセルホテル、隠れやすい公共の場に堂々と過ごしているとみてまちがいない。

 御影は同じマンションに住む住人だった。うっすらと記憶には人物が浮かんでいた。かなりの年輩だったと記憶していた。
 

 犯人は、テレビを観ていて情報に目をむけていた。警察がどんな動きをしているかを確かめるために。

 すると、捜索を手当たり次第に動いているのをしった。ローラー作戦で潜伏してそうな場所を捜す。と報じられていた。

 犯人は重い腰をあげた。

 外にでると、犯人の前には刑事たちが立ちはだかっていた。まんまと嘘情報を信じた犯人は、みずから表に出てきた。
 
 

 御影は不敵に笑みを浮かべて、犯人と対峙した。
 
 
 

 クライマックス・・・

 

 テレビ局は、不発爆弾騒動事件の犯人を捜索していると公表した。警察からの要請でもあり、これは異例ではあるが情報提供をもとめることも含めておおやけにした。

 御影が提案したとおりに報道は流れた。

 漫画喫茶やカプセルホテル付近を捜索をし、ローラー作戦で包囲すると、嘘情報を流した。

 都内から出てしまったのであればこの策は意味はない。だが、そこまでの行動力があるとは思えない。潜伏したほうが、ほとぼりが冷めるころに逃げたほうが逃げやすいからだ。

 そう犯人は考えていた。だからこそ地道な捜査を選択した警察が疎ましく思った。舌打ちをしながら漫画喫茶を出ていった。

「ここが当たらないとはかぎらない、くそっ!」

 そこは新宿だった。駅からそう遠くない東口方面の漫画喫茶に潜伏していた。

 軽めのリーゼントには白髪も混じり、もう五十代を越えている男性だ。

 浅黒い肌に痩せている。おっさんくさいナイロンぽいジャージに上はブルゾンを羽織っていた。

「おい」

 沢所刑事、清田刑事に、俺もいた。

「なに?」男は不快そうな顔を浮かべた。

「なぜ、我々があなたの前に現れたか、わかっているな?」沢所が言った。

 その男は驚きを隠せずにいた。

「どうしてここにいるとわかった?」かすれた声は聞き取りにくいが動揺しているのがわかる。

「俺のことを忘れたのか? 犯人に仕立てて同じマンションに住む者だよ」俺はその男に言った。

 男は無反応だった。むしろからだは硬直している。

「そういえばもう何か月も前から、妙に街で見かけていたよな。まったく関係ない地域でも見かけたときには驚いた。そのときはめずらしくスーツ姿を着こなしていた。まるで何かをごまかし偽装するかのようにな」

 笑えるのはこのおっさんがいつも俺が外出する先にそばに姿を見せるということだ。

「あれは見張られてるのかなと思ったよ」俺は気づいていたことをいった。

 だからかもしれない。

 爆弾の内部に使用されたペットボトルの側面の指紋が、無関係な御影の指紋と合致したのか。それは同じマンションに住み、行動を把握しやすい身近な人物。

 そして俺は見張られているような気がした。その気配は輪郭がはっきりとして、探偵である俺の脳裏にずっとその人物の容姿がちらちらとイメージの中で浮かんでいた。

「鈎沼 智嗣(かぎぬま さとし 46歳)だな、公共の場に偽物の爆弾を放置して騒動を引き起こした罪で逮捕する」沢所刑事は罪状を述べた。

 鈎沼は唖然とした顔で言葉も失い、なぜ待ち伏せされていたのかひどくショックな様子だった。

「なんで?」

 御影は前に一歩でた。

「おっさん、俺のこと知っているよな、顔みたことあるもんな、おなじマンションに住む者どうしだからすぐにわかったよ」俺はその人物の特徴を一瞥した。

「だから俺が住むマンションから出てあなたが街のどこかへと向かう防犯カメラをたどっていった。そしたら」

 俺は右人差し指を上にむけた。

「そこの防犯カメラにこの漫画喫茶の入り口に消えるあなたがうつっていた。出口はひとつ。出るときもここにうつるはずが、この数日出てきていない。つまり、あなたはまだこの漫画喫茶に潜伏しているところまでつかんでいた」

 清田刑事が続けていった。「すぐに臨場をかければいいが警察として優位に立てるのであれば、待ったをかけた。なぜなら不発爆弾は囮で、本当に爆弾を所持していないともかぎらない。だからあなたがみずから表にでるところを検挙する。それが得策だということだ」

「周囲を見ればわかるだろ」沢所が不敵に勝ち誇ったかのように笑みを浮かべた。

「えっ?」鈎沼は眉間に皺を寄せた。

 新宿東側のエリアだというのに、この漫画喫茶の前も日夜人が行き交う通りに面している。それだというのに、誰一人として一般人はいない。

 いるのは犯人と刑事、爆弾処理班が後方に待機している。そして警官が武装して犯人をにらみつけていた。

「他人の生活の領域をおびやかさないようにしていたが、あんたは俺の領域をおびやかした。ぜったいに許さないよ」俺は言った。

 

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