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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで!【番外編・御影解宗のデート】2

   2017年9月20日  

 母親とオババからデートの手ほどきをされた御影だが、自分なりのプランでデートをしていく。

 しかし、ノープランだった。あまりにも発想力が浮かばない御影は母とオババのプランに移行した。

「東京ディズニーランド」

 お互いに初めて訪れた。しかし、ひばりの表情はやわらかくなっていた。

 楽しんでいる。それが御影にとっても喜ばしいことだった。

 でも、二人はまだ恋人ではない。

 いまはただ遊楽地を楽しむ二人だ。
 
 

 デートを楽しむ半ば、御影とひばりは異様なものが視界にとらえた。

 茂みに小さな毛玉が右往左往していた。怪しげな物体の正体を覗き見る。

 するとそれは…。

 

 ノープランのデートはマイナスポイントからはじまっている。

 ちょっと不満そうな、ひばりの表情もすこし感情の熱流が全身をめぐっているようでほっとした。

 だが、このままではよくない。あてもないままさ迷って疲労だけの名ばかりのデートは徒労とおなじ。

 なら、ここしかない。と俺の眼は光った。というより母とオババの本日のデートプランに意識は移行していた。

 足早に電車を乗り継ぎながら向かった目的地は、たどりついた先は、とてもにぎやかな場所、現実味が一変して俺に感動さえあたえていた。

 身震いするそこは。

「東京ディズニーランド」

 ひばりはクスッと笑った。

 プランどおりの遊楽地にきたわけだが、どうやらひばりはどこでもよかったらしい。気を使われ本当の意味でのデートを楽しもうと手を尽くす俺にたいして愛想笑いではなく、愛情の笑みがこぼれたようだ。

「行くか?」俺はぎこちなく誘った。ここまできてだ。ひばりが断るわけがないことは承知の上でこういう言葉をかけないとならないのが歯がゆい。

「だいじょうぶよ、途中で行先、わかってたから…楽しみになってたもん」ひばりに明るい笑顔が戻った。

 よかった、それとなくデートを楽しむことができそうだ。
 
 

 入場してパンフレットを手にしてすぐに俺はショルダーバッグにしまった。ひばりはずっと手にもっていたがお互いディズニーランドは初めてだった。食い入るように見入っていた。

「なんだろ、楽しみたいけど、初めてでなにしていいのか…」俺はこういうときなさけなくなる。

 初めての場所では、手も足もでない亀になる。

 ひばりは俺の声がとどいておらず、キョロキョロと幻想的なこの場所をパンフレットと景色を交互に見渡していた。

「わああー、なんかすごいね。なんで今までこなかったの?」

「それ俺に聞く?」

「もっと早く連れてきなさいよ」

「なんだよそれ、恋人でもないのに」

 ひばりは黙った。俺はちょっと痛いこといってしまった。幼なじみだからこそ、いらないことを言ってしまう。

「てか、なに乗るよ?」

 うーん、とひばりはパンフレットと景色をいまだに交互に見ながら東西南北と状況把握するため脳内イメージにマップをトリミングしている。

「器用だな、男のほうが空間認識力高いから任せてくれればいいのに。こういうのは向こうが北、あっちは南だ。そして今はここ…」

 俺はマップをみながら説明しているが、ひばりは聞いちゃいない。

 なぜ、急に俺の声がとどかなくなったのか。

「やっぱりジェットコースターかな?」

 ひばりの眼が輝いていた。どうやら騒音でかき消されただけだったようだ。

「おお、そうか、意外とそういうのだいじょうぶなんだ?」

「平気よ、スピード感あるの好きだもん。それに水しぶきも浴びれて爽快感ある、絶対に気持ちいいよ」

 ひばりが望むならそれもまた応えるのが男というものだ。そもそも否定することなんて何一つとしてない。

「わかった、いいよ。そこまでいうなら乗ろうじゃないか。てか酔うなよ」

 うん、と弾むように答えたひばりは、本当に楽しんでいる。

 

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