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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで!【番外編・御影解宗のデート】3

   

 恐ろしいほどの怒号に、さすがの御影も驚きを隠せずにいた。

 赤ん坊を抱きかかえるひばりと御影に迫る強面の男たち。恫喝しながら迫りくる男たち。

 あきらかにその筋の者だと一見してわかる。

 理由はどうあれ、赤ん坊がターゲットなら渡してはならない。二人は逃げだした。
 
 

 巻いた強面の男たちだが、御影たちの行く手に新たな男女が立ちはだかる。

 どうやら赤ん坊の両親だという。

 しかし、その証拠はない。御影はこの二人が本当に親かどうかわからない。

 赤ん坊が抵抗しているのを見て疑念が湧いた。

 すると、その男女はあってはならない行動にでた。

 

 そこへ鉛のような重々しくそれでいて、やさしい人間の心に恐怖で震わせるほどの怒号がとんできた。

「おい、コラァー! なにしとんやオラァーー!」

「なんだ」俺は背後から迫りくる、怒声の主を見た。

 黒スーツや、ムキムキの大男にスキンヘッドの色黒まで、拳を固めて迫ってきていた。あきらかに敵意をむきだしている。

「なんだあの軍団は…俺たちに言ってんのか」どこかの筋の者であると一見してわかる風体だった。

「赤ん坊、返せやオラァー!」

 ふたりの心臓はぎこちなく震えている。血管内に無数の蟻が這うようなざわめきに俺たちは何かとんでもないことをしていると気づかせた。

「赤ん坊?」俺とひばりは顔を見合わせ、愕然とした。

「なんだあいつら、この赤ん坊とどういう関係が」

「関係なんてないよ、あんな人たちに赤ちゃん渡したらどんなふうに煮込まれるかわからない」

「おいっ!」俺はひばりのボケに驚きを隠せなかった。こんな状況で、鬼気迫る中よくそんなボケをかませる。

「とりあえず逃げるぞ、あんなのに関わったらどうなるか、ほんとうわかったものじゃない」

 俺とひばりは走りだした。

 赤ん坊を抱きかかえるひばりには驚かされる。赤ん坊の重量を抱えているというのに、なぜか俺より速い。

「ちょっと、待って」俺はひばりの走りさる背中を見つづけている。

「とっくん、速く、逃げないと」

 女の中には誰しもが、母性というBダッシュのボタンがついているのかもしれない。

「逃げんなコラァー! 殺すぞぉー!」

 後頭部を殴りつける怒号にうんざりだった。

「うっさい連中だ、あの手の輩はいやってほど相手にしてきたんだ。恐くはないが、めんどうごとにどうやら巻き込まれたようだな、やれやれ…」

 俺とひばりは建物内に逃げこんだ。そして、お化け屋敷に入ってしまった。

「真っ暗だ」

「ひっ、ここってお化け屋敷よね…」ひばりは苦手だったのに、曲がり角まがったさきの入り口に思わずとびこんでいた。

 後ろからさっきのどぎつい声がとんでいた。

「どこいったあー!」

 このお化け屋敷に入りこんでくるのも時間の問題だ。

 ひんやりとした空気のさきは闇。覚悟を決めて進行するしかない。

「ばぶっ、ばぶばぶっ、ばぶっ」赤ん坊は大笑いしていた。

「こいつ楽しそうだな、お化け屋敷だぞ、ある意味、さっきのいかつい連中よりも蒼白だ…」

「どっちも恐い…」ひばりは完全にこわばっていた。

 

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