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家元 第十部 危機を越えて

   

週刊誌記事に志乃の動揺は激しかった。

  どうしてあのことを知っているの・・

闇の力を借りれば、その報いは負わねばならない・・ずっと引っ掛かっていたことだったが、料理屋「小寿々」の女将、京子は、「あんたの知らんことや。あんたは踊りに専念すればええ。」とどっしり構えていた。

志乃も琴乃を守るため、京子の言う通りにしようと腹を決めた。

だが、苑田流幹部会では再び「琴乃叩き」が始まり、琴乃は落ち込んだが、大木早苗に「これくらいでへこたれたら家元は継げない」と励まされた。

バッシングに懸命に堪える琴乃。身も心も折れそうになった時、ある雑誌に載った故郷、若狭の紀行文が、いやな流れを変えてくれた。

 

 
志乃の動揺
 

志乃が手にしたFAXはスキャンダラスな記事を売り物にすることで有名な週刊誌のゲラ刷りだった。

「読者の皆さんの中で〝松吉の親分〟をご存知の方は少ないだろう。

 本名松吉茂三、明治28年(1895)、福井県敦賀市生まれ、表には一切出ないが、京都の花街では、任侠道に生きてきた男として尊敬され、様々な揉め事を丸く治めてきた人物である。

 当局は暴力団とは見ていなかったが、この〝親分〟が昨年11月、89歳で死亡した際、市民から脅威を感じていたとの通報があり、内偵していたところ、日本舞踊の苑田流との関係が明らかになったというもの。

 関係者の話によると、〝親分〟は市内の料理屋「小寿々」を贔屓としており、女将とは昵懇の仲。そして、苑田流家元も女将とは60年来の親友だということ。

 これだけなら問題は無いのだが、苑田流の次期家元と目される女性もこの料理屋で働いていた。その彼女が10年程前に福井県若狭で起きた父親の死亡事故の補償問題と自身の離婚調停で悩んでいた時、お贔屓客であり、同郷でもある〝親分〟に相談したところ、たちどころに解決したという。

 事情をよく知る者たちの間では、「さすが親分だ。」と評判になったそうだ。

 料理屋「小寿々」を隠れ蓑としたお付き合い?
 これは邪推だろうか?

 本来、美しい舞を楽しませる日本舞踊の会派が、暴力団ではないものの、任侠道に生きた花街の「顔役」と親しい関係にあるというのは、如何なものだろう・・」

 

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