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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第30話「予感」

   

マイルとピアズに正体を打ち明けたエリザ。

「私は、私の本当の名前は……エリザ・レイシー・カーネット。亡国カーネットの第一王女です」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週更新】

第30話「予感」

 

 

***

 師匠に剣を取り上げられたあの日から、私はずっと考えていた。私が本当に恐れていることとは一体何なのか――――と。
 この島に来て、島民達の過去を知り、苦しんだ。その時抱いた私の意志は、今も変わっていないだろうか。
 弱気になるなと師匠は言ったけれど、私はまだ胸を張ることが出来ないでいる。自分が亡国の王女だということを隠し、何も知らない振りをして、彼女達に過去を聞いたのだ。それだけでも、彼女達の信頼を裏切る行為としては十分だろう。

「でも、このまま島を出るなんて……やっぱり、嫌だわ」

 私と関わることで、不幸だった日々を思い出すはず。辛い思いをさせたくはない。だが、こんな別れ方は私だって嫌なのだ。

「望む資格なんてない。そうわかっているけれど会いたい。せめて……直接謝りたいよ」

 海辺で砂に手を埋めながら、私は一人、風に当たっていた。朝日が目に染みる。
 剣を取り上げられてから、もう二日が経った。どうやら師匠にお許しを頂けるまでは、旅立てそうにない。

「キールにマイル達の様子を聞いてみようかな……」

 それくらいなら、許されるだろうか。
 私は勢いよく立ち上がり、スカートについた砂を払った。

***

「キール! キールどこー?」
「キールならさっき出かけたわよー」
「そう……ですか」

 こんな朝早くから、一体どこへ行ったのだろう。

「何かあったの?」
「いいえ、大丈夫です。スウェナさん、何かお手伝いすることありますか?」
「んー……今のところはないわねぇ」
「そうですか……」

 仕方がない。師匠のところへ行こう。

「子供達の様子が気になるの?」
「はい」
「なら、会いに行って来たらいいじゃないの」
「それはそうなんですけれど……」

 両手の指を絡めて、言葉を詰まらせる私を見ると、スウェナはゆっくりと微笑んだ。

昨日も一昨日もあなたに会いに来てたのよ
「えっ?」
「家の前まで来て、帰ったみたいだけどね」
「……ピアズ……マイル」

 そういえば、あの花の礼もまだ伝えていなかった。
 私は俯いていた顔を上げて、体の向きを変えた。
 

 

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