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ラブストーリー

造形天使

   

人外×人のラブストーリーとなっていますが…
人外の設定がかなりエグい感じになっています。
エグさの感じ方には個人差がありますので、この話に出てくる人外の説明だけさせていただきます。
別の種族同士を掛け合わせて作った人工的な生き物という意味です。
人外をつくる描写はありませんが、人外とコミュニケーションしていく描写はあります。
苦手な方はご注意ください。

 

 
 とても美しかった。
 この世のものとは思えないほど、本当に生きているのかと思うくらい、美しかったそれは、あっけなくわたしの前から姿を消した。
 それから十五年、わたしは戻ってきた。
 造形天使に会うために。

「やはり、何度見ても綺麗ね」
 まだ目覚めない幼い造形天使を見て、わたしはぼんやりとそう口にした。
「研究員の魂がつくりあげていますからね。今までにないほどの美しさを見せてくれると思いますよ」
 わたしに説明をしてくれたのは、十五年前と同じ、この研究の全てを任されている恒吉教授。
 十五年前から容姿が変わっていないことから、かなりの歳だと見受けられる。
「それは楽しみですね」
「ええ、期待してくれて構いませんよ。真矢さん……とお呼びしても?」
「構いませんわ。どちらで呼ばれても名前のようなものですし」
「確かに、真矢鈴では、まやさんとお呼びしても、りんさんとお呼びしても名前になってしまいますね」
「そうなんです。ですから、どちらで呼ばれても勘違いされることが多くて」
 別に特別な人ではなく、広い意味でなのだけれど。
「それでも、その明るさで勘違いも深刻にならず解決しているのでは?」
「そうなんです。なんか複雑ですけど」
「そうですか。では、そんなあなたに早速お任せしたい仕事がありまして」
 言いながらひとつの扉を開いた。
 薄暗い部屋に明かりが灯ると、部屋の中央に大きな鳥籠があり、その中に青年くらいの年恰好をしている造形天使がいた。
「彼、実は天然物のようでね」
「天然? 造形天使ではないのですか?」
 天然、作り出されたものではないことを指す。
 目の前の天使が作られたものでないのなら……
「本当の天使?」
 投げかけた言葉に返ってくる言葉はなかったけれど、様子から、恒吉教授は天然天使だと信じているようだった。
「言葉の理解はできるようなのだが、誰にも心を開かなくてね。この部屋の中を好きに使ってくれていいから、彼から情報を聞き出してくれないだろうか?」
 わたし、真矢鈴が造形天使研究所に入所してはじめての仕事が、天然天使かもしれないこの青年とのコミュニケーションだった。

 

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