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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】5

   

 氷室探偵事務所で御影と輪都は報告書をすすめていた。輪都はそそくさと報告書を氷室に提出した。しかし、御影は探偵の眼でみたことを記さないとならない。

 この依頼は終了だ。そうすることもできるが、その判断は氷室名探偵にゆだねることになる。そのための報告書だ。

 帰宅しようとする御影をよびとめる氷室。二人になるために待っていたということだ。

 称賛をするが氷室は満足いっていない。要するに叱咤されている。これでは不十分。

 御影にはある思考が浮かんでいた。それを披露しなかったのは探偵としてあるまじきこと。

 一喝された御影はおのれの推理を解き明かすことができる。それがなによりのよろこびだった。

 御影は覚悟を決めて、調査を開始する──

 

 氷室探偵事務所にもどった御影と輪都は調査の報告書をまとめていた。氷室に報告するためだ。しっかりとした報告書を提出しなければやり直しになる。そこで事務員輪都の腕の見せ所。

 録音レコーダーとパソコンにあらかじめ入力した情報を基に報告書を仕上げていった。

「こんなんでどう? ホームズ」

「やめろ、嫌味に聞こえるから」

 御影はじっくりと報告書を読んだ。最後に付け加えてほしいと要望した。

 事件は終わっていない。蒸し返したいことが山ほどある。

「たくっ」輪都はふてくされる。「終わらせることもできるのに、なんでいつも張りきるかね。割にあわないよ。ほかにも依頼はきている」

「おまえはなぁ、いい加減な調査報告書を提出できると思ったら氷室さんに叱られるぞ。たしかにこの依頼は終了しようと思えば終わらせられる。だが俺たちが現地に行って直接話を聴取してみて感じた感想を付け加えなきゃならない。おまえも疑問に感じていたふしがあったから問いかけてたじゃないか。氷室さんは確実に盲点をついてくるぞ。俺たちがまだみえていない糸口を氷室さんはこの報告書から読み取るぞ。パズルのピースがそろっていればかならず推理を解き明かす。そういうひとだ」御影は白熱しながらド素人に言った。

 輪都は勢いに圧倒されていた。「質疑応答は御影さんの役目ですよ」

 うっ、御影が押し黙る。「とにかくしっかり付け加えとけよ」

「ならそれは御影さんがやってください。探偵でしょ?」

「このやろう…、でも、おまえに任せられないこともあるからな。おいパソコン立ち上げるボタンどこだ?」

 輪都は呆れた。「パソコン使ったことないの?」

「うちはノートパソコンだ。事務所のパソコンはデスクトップ型だろ」

 言い訳がひどい。輪都はそそくさと背をむけた。

「おい、たくっ」御影は自力でいろいろ押してみた。

 ブーン、と低い音が鳴って起動した。「なんだってできるんだよ、俺は」

 

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