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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第32話「家族の再会」

   

剣を習ったことに怒り出すシアンにエリザは言う。

「それに、私はあなたのことも守りたいから」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』
【毎週更新】

第32話「家族の再会」

 

 
「髪が伸びたんだな、お前」
「シアンは変わらないのね。二年も経っているのに」
「うるせぇよ」
「おーい、お前さん方。俺を忘れちゃいねぇか?」

 頭を掻きながら、半眼の師匠が私達を睨んだ。そんな彼に飛びつく勢いで、私は笑顔を向ける。

「師匠! もういいですよね?」
「あーわかったわかった。返してやるから」
「ありがとうございます!」

 仕方なくといった様子で剣を差し出した師匠を見て、シアンは口を大きく開けた。

「さっきから師匠師匠って……おいレイシー、お前まさか」

 私がシアンの父であるシエロに弟子入りしていることはおろか、剣を習っていたことすら知らないシアンは、驚きを隠せないようだった。

「ええ、あなたのお父様は私の師よ。剣も習ったわ」
「ああ!? やっぱりか……クソ親父てめぇ!!」
「さっきまでベソかいてたガキにすごまれてもなぁ?」
「この野郎……!」

 私は慌てて、師匠へ掴みかかったシアンを止めた。

「落ち着いて下さい! 急にどうし……」
「何で剣なんか習った!」

 言葉を遮られた。そして、彼の怒号が私に向く。

「お前には無理だろうが! どう考えてもよぉ! いいか? 剣を知らなければ、使わずに済むんだ。お前はそんなことしなくていい。忘れろ! わかったか!?」
「嫌よ」
「はあ!?」
「私は私の手で、国を奪った者達を……民を傷つけた者達に罪を償わせるの。もう二度と無残に命を奪わせないわ」
「レイシー……」
「その為にもこの剣は必要よ。それに、私はあなたのことも守りたいから」

 足にホルダーを着けてから、髪を払う。真っ直ぐにシアンの瞳を見つめて、話す。

「もう誰かに背負わせたりしない」

 ルイスに背負わせてきた真実も、シアンに背負わせてしまった戦いも、これからは私も引き受ける。どんなに苦しい結果になっても、後悔などしはしない。

「――――畜生……」
「ごめんね」
「わかった。俺がそんなもん使わせねぇくらい強くなりゃいいわけだ」
「えっ?」

 不敵に笑ったシアンの言葉に目を見開く。
 この男は、どこまでも強くあろうとする。そんな彼の生き方が格好いい。

「シアンは凄いね」

 私は笑顔を返した。その時、さくさく、と小さく砂を踏む音が聞こえた。

「シア、兄……」

 か細い少年の声に私達は振り向く。そこには、目を見開いたキールがいた。数年振りの兄の姿を見て、涙をぽろぽろと流しながら、彼は近づいてきた。ゆっくり、ゆっくりと、夢ではないのだと実感するように。
 シアンがキールに笑いかける。

「よぉキール、でっかくなったじゃねーの」
「ッ、に、兄ちゃぁああんッ!!!」
 

 

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